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兄弟 2
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「お、今日は和食なんだね?」
就職してからは起きたらきちんと準備をしてジャケットと鞄を持ってキッチンに来る様になった正兄ちゃん。
前は見られた寝癖姿も今は見る事もなくなって、それがまた寂しいと思ってしまった。
「味噌汁か」
2人が席に座った向いに座り手を合わせる。
僕の前のテーブルが僕とお兄ちゃん達との壁みたいに思えた。
血は繋がってなくても、兄で男の2人を好きになってしまった僕。
反対に、僕の事なんて当たり前だけど弟にしか思ってなくて、普通に女性と恋をする2人。
仲がいいって言っても所詮は僕の塗り固められた嘘で成り立ってるだけなんだから。
兄弟なんて戸籍上でのはなし、血の繋がりがなければ簡単に壊れてしまうもので、僕の気持ちが2人にバレて気味悪がられてしまえば、そこで終わり。
一緒に過ごすことももう2度と会うことすら。
だから、僕の想いは永遠に心の中に閉まっておかないと。
「雫、今日は帰りが遅くなるからご飯はいらないよ。」
「うん、わかった。律兄ちゃんは?」
「あぁ、オレも遅くなる。」
「うん、カットの練習大変だね。2人ともお仕事頑張ってね。」
「「ありがとう」」
笑顔で言うと、2人もふわりと柔らかい笑顔で返してくれる。
2人の笑顔は僕の幸せのひとつ。嬉しくもあるけど、この笑顔は僕の心拍数を簡単に上げる。
顔が赤くなるのを俯いて誤魔化す。
正兄ちゃんが家を出た後、僕も準備をして、まだ家にいた律兄ちゃんに声をかけて家を出る。
何時もの様に授業を受けて、休み時間やお昼は友達と過ごす。
他愛ない話をして他愛ない事で笑って、時には喧嘩っぽい事もして。放課後は部活をしてない僕は近くのスーパーで買い物をして帰る事もあれば、友達と寄り道なんかする日もある。
帰ったら着替えをして洗濯物を取り込んで畳んで2人の部屋のベッドに置いておく。2人が食べる日は御飯の準備をしてお風呂を掃除して、帰りが遅くならない限りは一緒に食べて、1人の時は適当に食べて自室で過ごす。
単調でつまらないかもしれない日常も僕にとっては嬉しくて楽しい日々だった。
それが、辛いだけの日常に変化するのは、あっという間だった。
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