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苦しみの日々 2
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そして、居場所のなくなった僕は、勉強に明け暮れて、そこそこ良い大学に入った。
そして、大学に入ってから居場所がなくなった僕は愛美さんから逃げる様にバイトを始めた。初めこそ帰りが遅い日は何も言ってこなかったのに、時が過ぎるにつれ「何をしてた」やら「誰といた」やら執拗に聞いてくる様になって、帰りがたまたま正兄ちゃんと一緒になった時は「私に内緒で何してた」と凄い剣幕で問い詰められたりもした。
それが、正兄ちゃんのいない所で悪口を言われる様になり、僕がキッチンに入ると「私に出ていけって言ってるの?!」と泣き喚く事もあった。
そんな日々が長い事続いたある日。
正兄ちゃんがいない夜、御飯だと呼ばれたのにテーブルには料理が並んでなくて、仕方なしにテレビを付けた。
見る事もなく携帯を弄っていた時。
「ほんと!男同士なんて、気持ち悪い!!」
あまりの発言に吃驚して愛美さんを見るとテーブルに食器をダンっと音をたてて置く。
その顔は般若の様だった。
「な、なに?」
愛美さんの顔が般若から薄気味悪い笑顔に変わる。
「雫君って、正の事が好きなのよね?」
知ってるとは思ってたけど、はっきり聞かれるとは思ってなかった僕は時が止まったように動けなくなった。
「初めから知ってたわよ。だから、あんたは間違ってるって、おかしいって解らせてあげようと思ったのに!!正も正よ!!本当に気持ち悪い!!兄弟よ!!男よ!!」
そう言ったと同時に食器が僕に飛んで来た。
中身がぶちまけられて、お皿が顔を庇った左手首にぶつかって割れた。
そんな事、言われなくてもわかってる。
気持ち悪いのも、間違ってるのも、おかしいのも。
「そうだ、雫君…正が、どうやって私を抱くのか教えてあげようか。」
「…っ!!」
耐えられなかった。
それだけは、耐えられなかった。
逃げるように部屋へ走ると愛美さんが追いかけて来た、階段の上で捕まって揉み合ってると視界がぐわりと歪んだ。
次に身体中に衝撃が訪れた。
僕は階段から落ちた。
ゆっくりと目を開けると階段の上で驚いた顔の愛美さんがいた。
あぁ、もうダメだ。
ここには居られない。
ゆっくりと体を起こそうとした時、右腕に激痛が走った。
あ、折れたかな。
驚く程に冷静に思った。
右腕を庇う様にノロノロと立ち上がると、今度は頭が痛くて左手で痛み元を触るとぬるりとした。
あ、切ってる、左手首も痛いや。
ゆっくりと階段を登る。
愛美さんが顔面を蒼白にしてガクガク震えていた。
その横を素通りすると部屋へ入って、荷物を纏める。
頭をタオルを抑えながら、階段へ行くと愛美さんは震えたまま涙を流して階段の上で泣いていた。
声をかける事もなく家を出た。
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