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穏やかな日常 5
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開いた窓から、そよそよと気持ちのいい風が入る。
部屋にあるソファーに並んで座った僕と正兄ちゃん。
「雫、痛みは?」
「うん、痛み止め貰ってるし、右腕は仕方ないけど、左手首は捻っただけで1週間もかかんないし、頭はちょっと切れただけだから、見た目より大丈夫だよ?」
「そうか、気持ち悪くなったりはしてなんだね?」
「うん、心配かけてごめんね。でも、大丈夫だよ。」
笑顔で答えると正兄ちゃんは僕の頬を左手で撫でながら頷いた。
不謹慎にも心配してくれる事が嬉しくて、優しく僕に触れてくれる事に喜んで、僕は正兄ちゃんの掌に自分から擦り寄った。
暫く、そうしていたけど、あの後の愛美さんの事が気になった僕。
「そうだ、愛美さんには連絡してなかったんだけど…」
「あぁ、それは俺から話といたよ。…ただ…」
正兄ちゃんの『ただ』の続きにちょっと不安なった。
「帰ったら、リビングの電気が付いたままで部屋で泣いていたんだ。…何かあったのかと聞いても、調子が悪いのかと聞いても答えてくれなくて。」
「今日は?」
「あぁ、朝起きてから聞いてみたけど、大丈夫としか言わなくてね。」
「そっか、どうしたんだろうね?…僕は大丈夫だし、早く帰ってあげたら?」
本当はもう少し、いて欲しいけど正兄ちゃんは愛美さんの旦那さんなんだ。僕よりも、愛美さんの事を優先させないといけない。そう自分に言い聞かせる。
「あ、うん…そうだね。でも、一人で大丈夫か?律が帰ってくるまでいようか?」
正兄ちゃんの言葉が可笑しくて笑ってしまった。
すると、正兄ちゃんは子どもみたいに拗ねた顔をする。
「なんで、笑うんだよ。」
「ふふ、だって、小学生じゃないんだから。心配しなくても1人でも大丈夫だよ。」
「別に小学生だとは思ってない。ただ、雫を1人にするのが何だか不安なんだよ。」
「そっか、ごめんね。でも、本当に大丈夫だから。」
「わかった。でも、困った事があれば直ぐに連絡するんだよ?」
「うん、わかった。」
正兄ちゃんはもう一度、僕を抱きしめると帰って行った。
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