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穏やかな日常 6
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身体がこんな状態だとは言っても、何もかにも律兄ちゃん任せにするわけにはいかなくて、と云うか今までの習慣でじっとしてられなかった僕は痛みに気を付けながら部屋を片付けたり、お風呂を洗ったりして、それが終わると友達がくれたノートのコピーを整理していく。
そうこうしているうちに律兄ちゃんが帰って来たのか、玄関の開く音が聞こえた。
「おかえりなさい。」
玄関まで走って行くと靴を脱いでいた律兄ちゃんを出迎える。
律兄ちゃんは、吃驚した顔で僕を見て靴を脱ぐ途中で停止していた。
「?…どうしたの?」
「あ、いや、久しぶりに『おかえり』って出迎えられたから。」
「あ、ごめん、吃驚しちゃった?」
「いや…いいな、と思って。」
「ふふ、そっか。おかえりなさい。」
「あぁ、ただいま。」
笑顔でもう一度言うと、律兄ちゃんも嬉しそうに返してくれて、僕もいいな、と思った。
それから、律兄ちゃんとご飯を食べて、僕にとってはドキドキのお風呂に入って、これまたドキドキしながら一緒に寝て、そんな日々が続いて行った。
5日も経てば左手首の痛みもすっかりなくなって、頭の傷も瘡蓋が出来て、自分の事はほとんど出来る様になったのに、お風呂だけは、ちゃんと洗えないだろうと半ば強制的に一緒に入らされていた。
3人で暮らしていた頃は愛美さんの言動に気を使い、2人の姿に傷付いていたけど、律兄ちゃんと過ごす様になって僕の心は以前よりも格段に落ち着いていた。
ただ、律兄ちゃんが必要以上に甘やかすもんだから、その度に僕の心拍数と熱度は上がって爆発寸前な事もあったりして、そういう意味では全く落ち着いたとは言い難いかもしれないけど。
バイト先には僕の不注意で怪我をして2ヶ月近く迷惑をかけるので辞める事を話すと、辞める必要はないから治ったら、また復帰して欲しいと言われた。
大学もみんなのおかげで困る事もなく、事前に病院からの診断証明を出していたので、試験も何とかなって、そうこうしているうちに夏休みに入った。
そんな穏やかな日々が続いていた、ある日。
愛美さんがやって来た。
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