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心の内 3
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「えっ?!どうして?!…愛美さんは正兄ちゃんが好きなんだよね?!」
「ええ、好きよ。」
「だよね!!だったら別れる必要ないじゃないか!!やっぱり、僕が原因なんでしょ?!だったら…だった…」
「…自惚れないでよ。」
愛美さんから発せられた声は冷たく、僕の言葉を止めるのは容易だった。
「全てが雫君を中心に動いてる訳じゃないのよ。」
最もな意見だと思う。
「そう、だよね。ごめんなさい。」
「いいえ、私こそキツイ言い方をしてごめんなさいね。これは、私と正の問題なの。今は教えられないけど、そのうち解ると思うわ。ただ、ひとつ。こうなったのは、誰のせいでもないって事なの。」
だから、自分を責めないで。
そう言った愛美さんは綺麗な笑顔を僕に向けてくれて、スッキリとした顔をしていた。
愛美さんが帰ってテーブルの上のグラスを見ると、それは空になっていた。
初めて愛美さんと会った日の事を思い出し、あの時の僕は厭悪、愛美さんは拒絶の感情だった。
それが困惑や嫌悪や憎悪、嫉妬、悲嘆、数えきれない感情に揺さぶられて今は、悠然へとしている。
今日、話してわかった。
愛美さんは本来なら落ち着いていて、優しく、人を気遣える、芯があって悪い事は悪い事だと謝る事が出来て慈愛に満ちたそんな人だ。
だから、正兄ちゃんも好きになったんだと思う。
それが、愛美さんの正兄ちゃんへの愛の深さと僕の想いで歪んでしまった。
愛美さんと正兄ちゃんが本当に別れてしまうのかは、まだ僕には分からないけど愛美さんが言った通り2人の問題だから僕が口出ししていい事ではないのだと思う。
ただ、出来るなら2人が幸せでいられる事を願う。
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