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「ん?雫、今日、誰か来たのか?」
帰宅した律兄ちゃんがキッチンに立つと振り返って僕に聞いてくる。
「あ、うん。愛美さんが…」
「はぁ?!あいつ、何しに!!」
愛美さんと聞いた律兄ちゃんの表情が険しくなる。
原因は知らないものの、愛美さんが僕を良く思ってない事を知っている律兄ちゃんは、また何か言いにでもやって来たと思ったのかもしれない。
「あ、違うよ!!…愛美さん、ごめんなさいって謝りに来てくれたんだ。」
「はぁ?!謝りに?」
信じられない、と云うように律兄ちゃんの表情が険しいものから驚いた表情に変わる。
律兄ちゃんはキッチンからダイニングテーブルの近くに立っていた僕までやって来ると、手を引かれて2人並んでソファーに座る。
僕は今までの事、あの日の事を謝ってくれた事や愛美さんの想いや僕に対する感情を律兄ちゃんに話した。
勿論、僕の正兄ちゃんへの想いに触れる事や愛美さんの想い全てを言った訳ではないが、愛美さんが正兄ちゃんを愛していた事が解るように伝えた。
後、どうしようか悩んだが、愛美さんが正兄ちゃんと別れようと思っている事も話した。
僕が話すあいだ律兄ちゃんは黙って聞いてくれた。
僕が話し終わると「そうか」と一言呟いただけだったけど、怒ってる様子もなく、なんだからホッとしている様に見えた。
話が終わると2人でご飯を作って食べた。作ると言っても僕の右手はまだ使えないからお皿を出したり、机を拭いたりしただけだけど。
食事が終わると右腕に律兄ちゃんがナイロンでカバーしてくれて2人でお風呂に入る。
兎に角、僕は出来るだけ律兄ちゃんを見ない様に目を瞑ってパパっと服を脱ぎ捨てシャワーで身体を流すと湯船に浸かる。
カラカラと扉の開く音がして律兄ちゃんが入ってくる。
「雫、いつも言ってるが風呂で走ると転けるぞ。」
「わかってる、大丈夫だよ。」
鏡の前に座った律兄ちゃんがシャワーを出しながら言う。僕は白色の湯船に、この貧相な身体が見えないように体操座りで肩までしっかり浸かると目を瞑り律兄ちゃんの反対側へ顔を向ける。
律兄ちゃんが頭を洗い、身体を洗うと間に深呼吸をして覚悟を決める。
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