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休日 4
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「あ、悪いつまらない話をしたな。」
「ううん、そんな事ないよ。美容師さんって凄いお仕事だね。」
律兄ちゃんの話は、まだバイトの経験しかない僕からすると将来、僕も自分が楽しいと思える仕事がしたいなって思わされるものだった。
本屋さんを後にすると律兄ちゃんが新しい靴が欲しいと言うから、それに付き合ったり映画までの時間をのんびり過ごす。
「そろそろ時間だな。」
「僕、飲み物だけ欲しい。」
僕はカフェオレ、律兄ちゃんはブラックを買って席に着く。
公開から日にちが経ってる事もあり人も少なく落ち着いて観られそうだった。
ゆったり座れる席でも隣に律兄ちゃんがいるのに少しドキドキして何だかデートみたいで嬉しかった。
そのドキドキも映画が始まるとスクリーンに夢中になって忘れてしまったけど。
エンドロールが流れて場内が明るくなると周りの人が席を立つのに釣られて僕達も外に出た。
「お昼どうする?パスタやピザなら食べやすいと思うが。」
「うん、僕は構わないよ?」
「じゃ、そうするか。」
その前に、と僕は律兄ちゃんに待ってもらってトイレに向かった。
用を足して戻ると、ベンチに座った律兄ちゃんに女の人が2人、仲良さげに話かけていた。
誰か知り合いかと思って律兄ちゃんの背後から、ゆっくり近づくと会話が聞こえてきた。
「な訳ないじゃん!!」
「ぁ、そっか、冴月さんとデートですか?」
女の人が言った『さつきさん』に僕はピクリと反応した。
「そんな、いっつも一緒にいませんよ。」
「えぇ、あんなに仲いいのに。」
「だから違いますって。今日は弟と…ぁ、雫。」
周りを見て僕を見つけた律兄ちゃんが手をあげる。
僅かな会話だったけど、僕を動揺させるには充分なものだった。
けど、それを不安がるのもおかしな事だと分かっていて、僕は平気なフリして律兄ちゃんの側へ行く。
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