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想い 2
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何を言われたのか分からなかった。
ううん、違う。
分かってはいても、それが現実なのか分からないんだ。
「ふぇ?…え?あ、え、」
信じられなくて、正兄ちゃんの言葉が自分の都合の良い幻聴のように思えて。
正兄ちゃんが僕を愛してる?
「ごめん…気持ち悪いよな。」
正兄ちゃんの手が僕から離れていく。
それが、怖くて僕は正兄ちゃんの両手を強く掴んだ。
「雫?」
正兄ちゃんの困惑した表情に、これは現実なんだと、正兄ちゃんが僕を好きだと言ったのは、僕の幻聴なんかじゃないんだと理解した途端、僕の中にあった感情が一気に溢れた。
「ぅ、ふ…っ、ぼく、も…ぅぅ、僕も、正兄ちゃん、が…大好き」
ポロポロと流れる涙を止める事も出来ずに大好きな人に想いを伝えた。
正兄ちゃんが目を見開く。
「律が…」
正兄ちゃんの言葉に僕も驚き目を見開く。
「雫は、律が好きなんじゃないのか?!」
戸惑う。
僕は正兄ちゃんだけじゃなく、律兄ちゃんまでもを好きになってしまったから。
兄弟なだけじゃなく、同時に2人の男を好きなってしまった僕。
正兄ちゃんの気持ちに応えたとしても、僕の心はもう1つあって、そんな想いのまま正兄ちゃんに応えていい訳がない。
正兄ちゃんが逃げなかった様に、僕も逃げちゃいけないと思った。
「ごめんなさい。僕は…欲張りで我儘だから、正兄ちゃんの事、大好きだけど…それと同じくらい、律兄ちゃんも大好きで…だから。」
だから、やっぱり、この想いは報われちゃいけないんだ。
「正、兄ちゃんの気持ちが…嬉しい。でも、僕は…え?」
僕が気持ちを言い終る前に正兄ちゃんにキツく抱き締められた。
「信じられない。俺はずっと雫が好きだった…でも雫は律の事が好きなんだって分かってた。だから、俺の想いは一方的なものだと、雫が俺の想いに応えてくれる訳がないと思ってた。」
震える声に震える身体、僕の耳にはどくどくと早いリズムを刻む心音が届いて、抱き締められた正兄ちゃんの身体は、暖かだった。
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