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想い 4
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ちゅ、と唇が触れるだけのキス。
目を開けると、大好きな人の優しい表情が僕の視界いっぱいを満たす。それは、同時に心も満たしてくれた。
もう1度したくて、恥ずかしさを隠し僕から正兄ちゃんにキスをする。
お互いの瞳を見つめて微笑みあって、もう1度、どちらともなく唇が合わさる。
柔らかくて暖かい正兄ちゃんの唇。
嬉しさに泣きそうになった時、僕の唇に正兄ちゃんの舌が触れて。
「ふぇ、あっ、ん…んん、ぁ、ん」
驚き開いた唇の隙間から、にゅるんと入ってきた、それ。
どうすればいいのか分からない僕の舌を正兄ちゃんの舌が捕らえる。つついて、舐めて、まるで僕を味わうかのように優しいキスをくれる。
初めは驚いた僕も優しい正兄ちゃんのキスに溶けて、自然と声が出てしまった。
「ん、ぁ…ん、ん」
最後にちゅと音をたてて離れた唇、暖かかった唇が外気に触れてヒヤリと冷える。
でも、僕の身体と顔、そして心は、暖かさを残したまま。
「はふぅ」
キス初心者の僕は、嬉しさと恥ずかしさで正兄ちゃんの顔をまともに見る事も出来ず、正兄ちゃんの胸に凭れ掛かる。
トクトクトク、と少しばかり早い正兄ちゃんの心音を耳に心を落ち着かせていて、そんな僕を優しい腕と胸が包んでくれる。
夢なんかじゃないんだ。
ずっと、ずっと好きだった正兄ちゃんが僕の事を好きだって言ってくれた。
兄弟で男の人を好きなってしまって、この想いは行き場を無くして、でも消化する事も実る事もなく永遠に彷徨い続けるのだと思ってた。
長く長い、僕の想いは正兄ちゃんの優しい腕の中で花を咲かせる事が出来た。
想いは溢れて、それがかえって僕を冷静にさせていた。
「正兄ちゃん、愛美さんとは…」
冷静だと引っかかっていた事が気になる。
愛美さんは自分と正兄ちゃんの事だと言っていたけど、正兄ちゃんが僕を好きだと言った今、僕にも関係のある話になる。
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