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想い 10
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「どうしてだ?」
律兄ちゃんの苦しげな声に僕の胸もより苦しくなった。
でも、僕に苦しむ資格なんてないんだ。
正兄ちゃんと思いが通じた時は、この人を離しちゃいけないって思った。
けど、それはあくまで正兄ちゃんと僕との想いが通じただけであって、律兄ちゃんとの想いは叶わないと思っていたからだ。
自分勝手だし、お兄ちゃん達を振り回してるのも分かってる。
「僕ね、我儘で欲張りって言ったでしょ?…だから、烏滸がましいかもしれないけど、どっちかだけなんて無理なんだ。正兄ちゃんが正兄ちゃんである限り大好きで、律兄ちゃんが律兄ちゃんである限り大好きから。だから…そんな気持ちでいたら、僕を好きだって言ってくれる2人を傷つけちゃう。」
「なんで、俺達が傷つくんだ?」
「なんでって!!僕は1人しかいないのに、2人を好きなんて可笑しいでしょ!!それに、僕は選べないんだよ?」
「なんで可笑しんだ?選ぶ必要があるんだ?」
「なんでって!!…他の人は、1人の人を愛して1人の人に愛されるものでしょ?!」
「他の人って誰?そういうものって何?」
「…え?」
「どうして、他と自分を同じにする必要がある?雫は雫であって、他の人間じゃないだろ?俺や律も雨宮正と雨宮律であって他の人間じゃない。雫が俺と律を好きで俺と律は雫が好きなんだ…選ぶ必要、ないだろ。」
待って、そんな事許されるの。
「……雫。選ぼうとしなくてもいい、雫が欲張りだってんなら、どっちも選べよ。」
律兄ちゃんの言葉に思考が真っ白になる。
「…ど、ちも、選ぶ?」
「そう。オレの事も兄貴の事も。他人と同じじゃなくても、いんだよ。オレと兄貴で雫の事、愛して幸せにしてやるから、オレと兄貴の事は雫が愛して幸せにしろよ。」
まさか、そんな風に言われると思わなかった。
「僕、今まで選べなかったよ?これからも選べないよ?ずっと、ずっと、2人が2人とも好きなんだよ?」
「あぁ。」
「うん。」
「いや、じゃ、ないの?」
「「全然」」
口を揃えてハッキリと言う2人、何この兄弟。
「僕、正兄ちゃんとキス、したよ?」
「じゃ、オレにもしてもらわないとな。」
「僕、律兄ちゃんと一緒にお風呂入って身体洗って貰ったよ?」
「今度は俺が洗ってあげるよ。」
もっかい言う。 何この兄弟。
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