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穏やかな夕暮れ 1
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今日も正兄ちゃんは律兄ちゃんのマンションに来ると言っていて、夕方に目が覚めた僕は財布と携帯を持って買い物に出かけた。
近くのスーパーへ行きながら、今日は何を作ろうかと考える。久しぶりの料理、昨日も作ったけど昨日とは気持ちが違っていて、今までの事も思い出された。
両親が健在の頃はお母さんと2人で仲良く作っていたのが両親が亡くなってからは僕の仕事のひとつだった。
初めの頃は台所に一人で立つと寂しくもあったけど、正兄ちゃんと律兄ちゃんが僕の料理を美味しそうに食べてくれて、少しずつ寂しさから2人に喜んで貰う為と楽しく嬉しいものに変わった。
それが、愛美さんが来て正兄ちゃんと結婚してからは殆どキッチンに立つ事もなくなって、もう2人に僕の料理を食べて貰う機会なんてないと思ってた。それが、また2人に食べて貰える様になるなんて。
まだ、現実なのかと、もしかしたら夢なんじゃないかなんて思ったりもするけど、シャツを捲ると見える2人からの印が現実なんだと教えてくれて、幸せな気持ちで満たされて夏の暑さも忘れるくらい早足で買い物に向かった。
終始ルンルンと鼻唄が出る気分で買い物を済ませ、帰宅する。
昨日は洋食だったから、今日は和食に決め料理に取り掛かる。
「ただいま。」
「あ、おかえりなさ、いっ、ン!」
仕事から帰って来た律兄ちゃんに突然抱きしめられたかと思ったらキスをされた。
「ん、まっ…ン、ん」
触れた次の瞬間には唇を割って入って来た律兄ちゃんの舌が『待って』と言う間もなく僕の舌を捕らえて離さない。
僕も初めは驚き抵抗したものの、直に律兄ちゃんの舌に自分の舌を絡めて、拙いながらも、この甘さに溺れていく。
「ふぁ、ん…ン、はぁ」
散々に僕の口内で暴れた後
ちゅっとリップ音を残して離れた唇はどちらのとも分からない唾液で光っていた。その唇を長い舌がペロリと舐めて口内へ消えていった。
キュンと胸が鳴った。
「はぁー、幸せ」
律兄ちゃんの甘い声と強い包容。
僕も大きな背中に腕を回し、幸せに浸る。
僕も幸せ。
着替えてくると行って自室に消えた律兄ちゃんの後ろ姿を見つめてから料理を再開する。
「おっ、今日は和食か?」
「わぁ!律兄ちゃん包丁、危ない。」
「ごめんごめん。」
後ろから腰を抱き込まれて僕の手元を覗く律兄ちゃんに驚き注意する。
謝りはしたものの律兄ちゃんは僕から離れるつもりはないらしい。
「昨日は洋食だったからね。」
「オレは雫が作る物なら、なんでも好きだからな。」
嬉しい言葉をくれる唇が項に一つキスを落とす。
「ふぅっ、ん」
首から全身に甘い痺れが流れて声が漏れてしまった。
「ふ、エロっ」
「もう!!律兄ちゃん!!」
「ご、ごめん、悪かったって。」
キッと後ろの律兄ちゃんを睨んで右手に持った包丁を持ち上げると僕からパッと離れた律兄ちゃんが両手を上げて降参する。
勿論、包丁なんて人に向けていい物ではないから刃は向けてない。
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