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穏やかな夕暮れ 2
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手伝うと言ってくれた律兄ちゃんと2人並んで他愛ない会話をしながら料理を作る。
料理が出来上がって、洗濯物を取り込み畳んでいた。
時間は6時過ぎ
「ただいま。」
「おかえりなさい。」
愛しい人を笑顔で出迎える。
正兄ちゃんはソファー横に鞄を置くと僕の前に座って優しく抱きしめてくれた。
僕も正兄ちゃんの背中に腕を回すと、もう一度「おかえりなさい」と言った。
じんわりと暖かかった体が離れると正兄ちゃんはおでこをくっ付けたまま、僕の名前を愛しいそうに呼ぶ。
「キス、していいか?」
「ふふ、いいよ。」
正兄ちゃんだな、と思った。
律兄ちゃんなら何も言わずしてくる、それは律兄ちゃんの性格でもあり、僕が拒まない事を分かっての行動なんだと思う。
でも、正兄ちゃんはちょっと寂しがり屋でちょっと自信がない所がある。
僕が甘えたい時は律兄ちゃんが、僕が甘やかしたい時には正兄ちゃんが、勿論、律兄ちゃんが甘えてくれる事もあれば正兄ちゃんが甘やかしてくれる事も。補って補われて。
そんな、2人だから僕は好きになったんだと思う。
初めは触れるだけのキス、それを2度3度してから唇を湿ったそれがちょんちょんとつつく。僕はゆっくりを招き入れる、舌先同士でチロチロ触れ合いそれから全体で甘さを。
「ん、はぁ…ん、ん」
くちゅくちゅ響く音さえ気持ち良くて、律兄ちゃんがいるのも忘れてしまう程、堪能した。
ちゅぷっとリップ音を残して唇が離れると、もう一度抱きしめ合った。
たっぷり正兄ちゃんを堪能して、律兄ちゃんがちょっと拗ねたのを僕はワタワタしながら抱きしめて許して貰って。
こんな、穏やかな夕暮れ時が幸せで心がぽかぽかした。
アスファルトを焼くように照らしていた太陽もほぼ隠れてしまった時間、他愛ない会話をしながら3人で食事を囲んでいたら、何かを思い出した様に律兄ちゃんが箸を置いた。
「律兄ちゃん、どうしたの?」
「あぁー、そういや兄貴、何時になったら帰るんだよ?」
ナスとピーマンの煮浸しを食べていた正兄ちゃんは、律兄ちゃんと同じ様に箸を置いた。
「この事なんだけどね、律、家に帰ってくる気はないか?」
「…は?いや、オレ引越したばっかだぜ」
「雫は、どちらにしろ怪我が治ったら、帰ってくるだろ?」
正兄ちゃんに聞かれて、僕も兄ちゃん達と同じ様に箸を置く。
「あ、うん…帰っても…いいのかな?」
正兄ちゃんに黙って家を出てしまった僕は、ハッキリと帰ると言えなかった。
愛美さんとの間にあった事で、飛び出し律兄ちゃんの家に無理矢理なかたちで転がり込んでから1月以上立つのに、愛美さんが居なくなったからと、すんなり帰っても良いのか迷ってしまった。
そんな僕に正兄ちゃんは、優しい笑顔を向けて、大きな手で僕の頭を撫でた。
「当たり前だろ。あそこは雫の家なんだから。」
「うん、そっか、そうだよね。」
「って事は、お前は雫と離れて暮らす事になるけど、いいのか?」
「いや、いい訳ねぇだろ!!雫が帰んなら、オレも帰るに決まってんだろ!!」
正兄ちゃんの言葉に律兄ちゃんは迷いなく答える。
その後、二人は何時引越すか、部屋はどうするか、と夜遅くまで話し合っていた。
そんな二人を見ながら、僕は、またあの3人で暮らしていた頃に戻れるんだと思うと、嬉しくて、楽しみで、凄く幸せな気持ちになった。
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