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何やらさっきから廊下が騒がしいような気がする。
「佑月くん、ちょっと待っててもらえるかしら?」
「はい…。」
そう言うと桃子さんは扉を閉めて廊下へ行ってしまった
その廊下からはさっきまでとは違う桃子さんの声が聞こえてきた。
「お前たち、静かにしな!一体何事だ?」
「桃子様!ここにいらしたのですか!?探しました。実は──」
急に聞こえなくなった声。
何だか嫌な予感がする。
「それは本当か…直ちに車を出す準備を」
「畏まりました。」
そして再び聞こえる声。
それは先ほどの元気な桃子さんではなく
真剣な姿が想像できる程の声だった。
すると会話を終えた桃子さんが戻って
物静かな姿で僕の元へ来る。
「佑月くん、落ち着いて聞くのよ。」
「…。」
「司が…撃たれて今緊急手術に入ったわ。」
「え…?」
桃子さんの言ってる意味が分からなかった。
だって今朝…一緒にここまで来た。
撃たれ…た?撃たれるって銃で…?
「ど…いう、こと…です、、か」
「仲間を庇って撃たれたそうよ。」
司が…撃たれた?
また…僕は一人になるの?
司も僕から離れて行くの?
「う…そだ…嫌だ、、司がいなくなったら僕はっ…!」
怖い怖い怖い。
もう一人は嫌だよ司。
「嫌だ嫌だ嫌だ…いかないで…置いてかないで…」
そのまま訳もわからず床に座り込み
目からは涙が一向に止まらない。
そんな僕の腕を桃子さんは引っ張り立ち上がらせようとする。
「しっかりしなさい!!!司はこんなんじゃ死にはしないわ。」
「佑月くん大丈夫。きっと助かる。だから私と一緒に司を信じましょう?」
「信じる…?」
そうだ。桃子さんとも約束したばかりじゃないか。
司を信じるって…支えてあげるって…
今この瞬間こそが、その時なんだ。
ここで泣いていても何も変わらない。
だったら僕はっ…
「車を用意させたわ。佑月くんはどうする?」
「行きます。行かせてください。」
「よし、じゃあ行くわよ。」
そうして桃子さんと一緒に司がいる病院へと向かった。
待っててね司…次は僕が迎えに行くよ。
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