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それから桃子さんと僕は車に乗り、
風見さんのいる病院へと向かった。
そのまま司がいるという手術室の前まで行く。
そこには、優さんや九条さん…そして僕の知らない男の人…3人がいた。
その見たことがない男の人は
桃子さんの元まで走り頭を深く深く下げた。
「申し訳ありません。本来、若を守らなければならない立場である僕が油断してしまったばかりに、若に銃弾が…」
「凪、貴方のせいじゃない。だから頭をあげなさい。」
「しかしっ…」
「大丈夫よ、こんなんじゃ司は死なないわ。」
「はい…」
そのまま顔を上げた彼は僕の方に目をやる。
「あの…その子は?」
「佑月くんよ。司と今一緒にいる子。」
「荒井凪です…佑月くん…ごめんね。」
「いえっ…そんな…。」
正直僕に謝られてもどうしていいかわからない。
だから僕は精一杯の気持ちを荒井さんにぶつけた。
「荒井さん、司は必ず戻ってきてくれます。だからっ…一緒に待ってましょう?」
「そうだね。ありがとう佑月くん。」
その一方で九条さんは桃子さんに現時点での
状況報告をしていた。
「桜庭さんと伏見らは残骸の処理に当たっています。」
「そう、わかったわ。」
「では、我々も残りを全て終わらせ次第またこちらに戻って参りますので、どうか宜しくお願いいたします。」
「荒井、行くぞ。」
「はい…」
九条さんは荒井さんを呼び、仕事へと戻そうとする。
しかし、それを桃子さんが止める。
「凪、貴方は残りなさい。」
「桃子さん何をっ!」
「いいのよ、このままの凪を仕事に戻しても意味がないわ。なら私たちと一緒に待ちましょう。」
「桃子さん…ありがとうございます。」
「桃子さんがそう仰るのであれば…従います。」
「貴方達も本来なら仕事なんてなげ出してここに居たいのはわかるわ。だけど司がいない時こそ貴方達には黒崎組を守って欲しい。だから…どうかお願いね。」
「ええ!わかってますよ!代わり代わりに様子を見にきますので黒崎組は俺たちに任せてください!」
それから2人が仕事に戻った後
僕ら3人は椅子に座り司の手術を静かに待っていた。
そして80分経過した後、目の前の手術中という
看板の光が消え、中から医者が出てきた。
「ご家族の方でしょうか?」
「ええ。」
「全ての銃弾を取り除くことができ、手術は無事成功しました。暫くは安静にして頂く事になりますが、2週間以内には退院出来るかと思います。」
「ありがとうございます。」
「では、もう暫くしたら看護師たちが病室まで運びますので10階の1005号室でお待ち下さい。」
「分かりました。」
医者は桃子さんに全て伝え終わると
その場から立ち去った。
そして、僕は桃子さんの方へ行った。
「桃子さん!」
「ええ、司は無事よ」
「よかった…本当に良かった…」
「若…本当に貴方は強い人ですね。」
それから、僕ら3人は病室に行き
司を待つ事にした。
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