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司と長い時間抱きしめ合った後、
僕は話を切り出した。
「司…僕話したいことが…ある。」
「奇遇だな。俺もだ。」
「な、なに?」
「お前なぁ…。まあいい俺から話す」
僕から話したいことがあるだなんて
言っておきながら司に最初に話させる僕は最低かな…
だけど司の話次第では…僕の話は切り出すことができない。だって、こんなに真剣な顔で話があるだなんて言われたら…怖いんだ。
だから卑怯な僕は司の話を先に聞く。
「最初は…お前の事を可哀想な奴だと思って同情してたんだ。そんな気持ちでお前を俺の家に住まわせていた。」
「うん…」
「だけど、お前と一緒にいるうちにだんだん同情なんかじゃなくて、純粋にお前に依存してる俺がいた。」
「…。」
「何にそんな依存していたかはわからねえが、知らない間に夢中になってたんだな。そんな時に俺は見ての通り撃たれたわけだ。」
「うん。」
「撃たれた時に一番に考えたのが、佑月…お前のことだった。」
「僕のこと…?」
「ああ、早く会いたいだの、佑月の笑顔が見たいだの…ずっとそんなことばっかり考えてたんだ。」
司はそのまま、佑月の顔に手を添える。
「ちょっ…司?!」
いま僕はどんな顔をしているんだろうか?
きっと茹でダコみたいに顔が赤くなっているに違いない。
「そこでやっと気づいた。俺は、佑月お前の事が…」
「ま、待って!」
佑月は話し終えていない司の口を
自分の手で押さえる。
だって…こんなの、、司がまるで僕の事を好きみたいに…
そんなの…あり得ないのに。
都合のいいように解釈してしまう自分が嫌だ。
期待してる僕がどこかにいる反面、
愛したことも愛されたこともない僕は
どうしたらいいんだろうという気持ちでいっぱい。
そんな事を考えている間に、みるみるうちに
司の顔が不機嫌になっていく。
口を押さえていてもわかる。目が笑ってない。
すると、司は僕の手を無理矢理剥がし両手を上に持っていかれたまま司が寝ていたベッドに倒される。
バフっと布団の音がすると同時に司の顔と僕の顔の距離はわずかだった。
「つかっ…さ?」
「佑月、好きだ。」
そう言うと司は佑月の唇に自分の唇を重ねた。
「んぅっ、、あっ…やぁ、、らっ」
キスは止む事はなく、更に司の舌が佑月の中へと侵入してくる。
「はっ…んん!!」
そのまま息がそろそろ限界というところにきた時
ようやく司は僕を離してくれた。
「はぁっ…ふっ、、」
「やばいな…」
「つ、司の馬鹿!!!」
「そんな顔で言われてもな。」
ムッと口を膨らませ、司を軽く睨みつける。
「もう、僕の話も聞いて!」
「ああ、そうだったな。」
「あのっね…」
司が僕の事を好きって…言ってくれた。
その言葉は嬉しい反面不安にもなる言葉だった。
また、信じて裏切られた時僕は
次こそ生きる気力を失うかもしれないから。
そんな事を考えているうちに司は僕の手を離し
一度起き上がらせ、ベッドの上で対面になる。
それが、僕が司に話すタイミングだと思い
話を切り出した。
「僕はね司に命を救われた時から、司がどんなふうに思っていようとも僕にとって恩人でしかなかったんだ。」
「だけど、そんな恩人に甘えていた自分もどっかにいたんだと思う。」
「…。」
「それから優さんや桃子さんと色々な話をしたんだ。二人して、僕は愛されているだとか、もう一人じゃないよだとか言われて、正直意味がわからなかったんだ。ただでさえ、5年間僕は家族に愛されなかったのに、そんな短期間で絆なんて生まれるわけないでしょってね。」
「佑月…」
「だけど…気づいたんだ。それは僕が一方的に壁を作っているだけで何も前に進もうともしていないってこと、嫌なことから逃げていただけだったってことに。」
「それは、理解してもなかなか今の僕には人を信じるってことはできない。だから、最初は司を、司の仲間を支えてあげられる人になれたらなって思うんだ。」
「そ…それに、、その…」
「ん?なんだ?」
言わなきゃ…言うって決めたんだ。
まだ不確かではあるけど僕なりの
司への答えを。
「僕も…司のことっ好、、きかも…しれない…」
「かもってなんだよ。」
「かもはかもだよっ!」
恥ずかしさで顔が段々と熱くなってくる。
そんな中、司の方を見ると今までにないくらい
その整った顔が微笑んでいて僕の頭を撫でる。
「それでも嬉しいよ。」
「っ!?」
そんな顔されたら僕だって…
さっきの続きがしてみたい、試してみたいだなんて思ってしまう。
「司…もう一回さっきの…して」
「さっきのって?」
「さっきのはさっきの!」
「ちゃんと言われねえとわからないなぁ?」
絶対わかっててこういうことを言う司は
やっぱり意地悪で…でもそんな彼にキスされたいだなんて
思っている僕は本当にどうしようもない奴なんだろう。
「キ…スしてっ!」
「最初から素直に言えばいいのを。」
「う、うるさい!」
「ふっ、ほら口開けろ」
司の言われるがまま口を開ければすぐに
司は何度も何度も角度を変えてキスをしてくれた。
「はう…んっはぁ、、んん」
そのまま力が入らなくなる僕を司は優しく
支えてくれる。
司にされるキスは気持ちが良くて
段々とふわふわした感覚になる。
そうして長いキスを終えた司は
佑月を抱きしめる。
「佑月…俺は絶対にお前を守るよ。」
「僕は、司を支える。」
「ああ、期待してる。」
「僕も期待してる。」
僕らはきっと初めて会ったあの日よりもお互いに成長したと思う。
それはお互いがお互いの事を
大切に思う気持ちがそうしてくれたに違いない。
…そう僕は思いたい。
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