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「で、話ってのは?」
「2つあるんだけど…まずは学校のことで。」
「ああ、そういえばまだ学生だったな。」
「うん、僕ね司と出会う前から通ってた学校があって、前は…あまり通えてなかったの。その…痣とか凄かったし」
「ああ。」
「だからねっ…」
「学校、、行きたい。」
僕が思い切って言うと司は驚いた後、
少しだけ悩んでいる様子だった。
「だめ…かな?」
「あ、いや。別にいいんだが…」
やった!
でもなんだろうこの空気…司は納得はしてない?
「何?司…」
「学校に行っている間、お前の身の保証ができない。」
「大丈夫だよ。今まで問題なく通えてたよ。」
「今までの話だ。だが、黒崎組にいる以上身が危なくなる事もあるって言っただろ?」
「うん。」
「まあ、なんとか行けせてやれるように考えておく。」
「本当に?ありがとう!!」
ニコニコ微笑み司に顔を近け、首に腕を回して抱きつく。
「ふっ、そんなに学校に行きたかったのか。」
「だって前も全然行けてなかったからさ。」
「まあ、そうみたいだな。」
みんなが待っている学校に早く行きたい。
あの辛い時でもクラスのみんなのおかげで僕は
なんとか生きていけたんだ。
「で、もう1つは?」
「あ…その、えっと…」
「ん?なんだ。ゆっくりでいいから話してみろ」
「なんで美仔さんから着信がこないのかなって…」
美仔という単語を出した時、司はとても嫌そうな顔をして僕を見る。それは司にとっても僕にとっても、あまりいい人ではないからだ。
「だって…家出した時は、美仔さんの着信が凄かったし、あの人世間体を気にする人だから僕が消えたら絶対何かするはずだもん…」
司は「はぁ…」と溜息をつき、頭を抱えていた。
「な、何?」
「お前が病院にいた間に俺が話をつけたんだ。」
「話をつけたって…?」
「まあ、お前は知らなくていい。兎に角、そういうことだからもうアイツらに怯えながら生きていかなくていいんだ」
お前は知らなくていい。か…
なんだかそれは嫌な気がする。
「僕の事でしょ?だったら教えてよ」
「少し話しただけだ。」
「少し?そんなので美仔さんは身を引くわけっ…」
「俺なりのやり方で脅した。そういえばわかりやすいか?」
「脅したって…どういうこと?」
「簡単だよ。俺ら黒崎組が少し圧をかけさえすれば、相手は必ずびびってお前を差し出すさ。なんせ、一般人だからな。」
司にとってはこんなことが当たり前で、
普通に過ごしてきた僕が考えたらやっぱりこれは少し異常と感じる。でも其れがヤクザ…なのかな。
「どうやって…圧かけたのっ…」
「佑月、これ以上言わせる気か?お前泣いてるじゃねえか。」
泣いてる…?気づかなかった。
すると司は僕の涙を拭って目元にキスを落とす。
「んっ、ごめっ…ね」
「いや、いいんだ。お前の家族に手荒な真似して悪かったな。」
「ちがっ…」
「だけど、佑月をあんな目に合わせて起きながらノウノウと生活してる奴らを見たら、無性に苛立ってな。」
「つかさっ…」
「ああいう奴らは口で言っても駄目なんだ。だから俺の立場を利用した。いつもは一般人に手を出すなんてことしないけどな。お前のこととなると、どうも俺は抑えが効かないらしい。」
司は僕のためにやってくれたんだ。
少しやり方は荒っぽいかもしれないけど
司なりの優しさだったのかな。
「司、ごめんねっ…ありがとう」
僕はそんなやり方でも、僕のことを思って
行動してくれる司が大好き。
本人には絶対言わないけど…
「じゃ、俺からも1つ。」
「へ?」
その瞬間、僕の腕を引きガバッと袖をめくられた。
そして、今朝作ったばかりの青タンを軽く押す。
「痛っ…」
「佑月、また痣を作ったな?」
「朝起きたらベッドから落ちてたんだもん!」
「ったく、俺が外側で寝ないとお前は落ちるのか」
「し、仕方ないじゃん!司のせいでもう一人じゃ安全に寝れないの!」
「あー昨日は返して悪かったな」
「本当だよっ!司に会いたくて…司がいないと寂しくて…もう司がいないと僕は駄目なんだぁっ…」
そのまま崩れ落ちたかのように座り込み俯く。
僕はいつか自立できるのだろうか…?
こんなに司に頼ってちゃダメな事はわかってても
司は優しいからこんな僕でもいいよと言うだろう。
「いいじゃねえか、それだけ俺に依存してくれてるんだろ?」
「依存…してるのかぁ…」
「俺だってお前に依存してるしお互い様だろ」
「なっ…」
「俺は佑月がいない世界じゃもう生きてはいけない。お前はどうなんだ?」
「司がいなきゃ…僕はもう死んでたよ。だから僕も司がいなきゃだめ。」
「なら、解決したな?」
「うんっ」
こうやってなんでも1つ1つ、丁寧に解決してくれる司には、本当に頭が上がらない。
だから、この先何があっても必ず解決してくれるだろう。
そう、何があっても…。
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