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今日はついに司の退院日。
僕はあれからずっと司が退院するまで一緒にいた。
黒崎組の執行部や桃子さんが日替わりでお見舞いに
きたりして、本当に司は愛されていると感じた。
「風見、世話になったな。」
「いえ、若がご無事でなによりです。」
風見さんは、手術後の司の体調を何度も気にかけてくれて検査や、少しのリハビリをサポートしてくれた。
「じゃ、また何かあったら頼むぞ。」
「何か…は本来起こらないで欲しいですがね。」
「まあ、そうだな。鍛え直すとするよ。」
「ええ、そうして下さい。」
風見さんと話を終え、司は僕の手を取り
車まで一緒に行った。
車に戻ると桜庭さんが待機しており、
扉を開けて待っていた。
「若、おかえりなさいませ」
「ああ、悪かったな」
「いえ、とんでもございません」
司は僕の手を引きながら、桜庭さんが
空けておいた扉から車に乗り込む。
「家まででよろしいですか?それとも一度本家に戻られますか?」
「本家は明日行くから今日はそのまま家に向かってくれ」
「かしこまりました」
それから僕らは家に向かった。
*****
桜庭さんが送ってくれた後、司の家まで僕は急いで
玄関まで行った。
「佑月、転ぶなよ。」
「わかってるって!」
そのまま、僕は司が家に入る前よりも先に
玄関まで行き、司がまだ入っていないのにも関わらず
ドアを閉めた。
そして、靴を脱ぎ玄関の目の前に立って司を待つ。
ーーーガチャ
「佑月、てめぇドア閉めやがっ…」
「司!おかえり!」
「…って……」
僕は司がドアを開けた瞬間、司に飛びつき
司が倒れるくらいに抱きついた。
ずっと…ずっとこうしかたかった。
司が帰ってくるのを待ってた。
「…やられたな」
「ふふっ!驚いた?」
「ああ、今までで一番な」
「これから毎日やってあげようか?」
「いや、それは遠慮しておく」
「えー。」
「佑月、ただいま。」
「遅いよ!」
ああ…幸せ。
これからは毎日がこんな幸せだったらいいな。
「ほら、一回リビング行くぞ」
「はーい。」
司は倒れた体を僕を抱き上げながら立ち、
リビングへ向かう。
「うわっ!力持ち!」
「ばーか、佑月が軽すぎんだよ」
「ええ…」
「今日から沢山食わせてやるからな。」
「司の料理?」
「まぁ、お前が望むならな」
「司の料理がいい!」
「そうか。」
ソファに置かれた僕は足をバタバタさせながら
司が着替えるのを待った。
その一方で司は一人で呟く。
「…こういうのも悪くはないな。」
そんな司の微笑んで呟いた独り言を
佑月が知る事はない。
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