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「若!山城っす!」
外から元気な声で司を呼び家の訪れたのは
優さんだった。
「今少しお時間よろしいでしょうか!」
「取り込み中だ」
「少しだけでいいので!お願いします!」
司は少しだるそうに溜息を吐き扉を開けた。
「若!すいませんって…その抱えてるのは佑月くんですか?」
「ああ、見ての通りな」
「うっ…う…グスッ…」
「え、泣いてないっすか!?」
「だから取り込み中だと言ったんだ」
「す、すぐ終わらせます!」
慌ただしく鞄を漁り何かを探す優さんは
ゴソゴソと落ち着かない様子で何かを探していた。
そんな彼に会うのが久々で
司の肩に押し当てていた顔を少しだけ上げ
優さんの方を振り向いた。
「ゆ…優さんっ…」
「なんですかー?ゆづきく…」
僕が呼ぶと鞄を漁っていた手は止まり
僕の顔を見ながら優さんは顔も固まった。
「…っ?」
「ゆ、佑月くん!顔!顔!」
「か…お?」
「佑月さん!絶対若以外に泣き顔とか見せちゃだめっすよ!」
「なんで?」
「なんでって…」
優さんと会話をしている時、司に顔をまた肩の方に
向き直される。
「山城」
「は、はい!」
優さんを呼ぶ司の声はいつもより低く恐怖を感じた。
「佑月に対して妙な気でも起こしてみろ。お前のそれ切り落としてやるからな」
そう言って司は山城の下半身に目をやった。
「ひっ!!すいません!」
「わかったなら、さっさと要件を言え」
再び鞄を漁り、その探していた資料を見つけた後司にそれを渡した。
「はい、会長が本日本家まで来るようにと。そしてそれまでにこの資料に目を通しておけとの事でした。」
「わかった」
「では取り込み中失礼しました!」
「わざわざ悪いな」
「いえ!では」
嵐のように去っていった優さんを見届けた後、
司は再びリビングへ戻ろうとしている司の首に捕まっていた僕は、軽くしめるように力を込めた。
「佑月、それは嫌がらせのつもりか?」
「優さんのことっ…ちょっと苛めすぎっ…」
「ふっ、アイツにはあれくらいが丁度いいんだ」
「じゃあ…僕は?」
力を込めていた腕を外しそれを肩に乗せ、司と目が合うように少しだけ体を離し見つめた。
「山城の言う通り…か。確かに今のお前は苛めたくなる顔をしているな」
「話逸らさないでよ…」
「逸らしてねえよ」
そう言った司は僕の耳を噛みペロリと舐め、
その後耳元で囁かれた。
「可愛すぎて苛めたくなる」
「なっ…バカ!僕はまだ怒ってるんだから!」
「そうか、本当に怒ってるならその手を離せばいいんじゃないか?ん?」
「…っ知らない」
「我儘だな」
佑月を抱えたまま司はその場にしゃがみ込み
胡座をかいた後佑月を上に乗せ、対面の形に移動する。
「ほら、さっさと言いたいことを言え」
「ただ僕はっ司の側に行きたかっただけ、だったのにっ…司が怒鳴るからっ…昨日のせいで、、歩けなかった…だけなのにっ…」
「あとは?」
「司のバカ!アホ!バカアアアア…あっう…うぅ…」
肩をどんどんと叩きながら暴言を吐き
耐えられなくなった僕はまた司に抱きついて泣いた。
そんな僕の頭を撫でてくれたのは大好きな手。
「そうだな、全部俺が悪い」
「それは違くてっ…」
「怒鳴って悪かった」
「ごめん、なさっ…」
司は本当に大人で器の大きい人。
それに比べて僕はこんなことで、ウダウダ言って
司に迷惑ばっかりかけて…本当にダメ。
「僕…子供でっ、、司に我儘ばっかり言って迷惑かけて…ごめんなさい。本当は司が…僕の事を心配して怒鳴ったのも理解してたのに…怒られたことがショックで…ごめんなさい」
「別に気にしなくていい。それにそのままのお前を俺は好きになったんだから」
ああ…司の言葉って不思議だな。
司の一言で僕は救われる。今までも今も…そしてきっとこれからも。
「司…大好きっ」
ずっとこの時間が止まればいいのに。
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