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準備を終えて、司が運転する車に乗り
僕らは本家へと着いた。
着いてからはなぜか手を繋がれながら
本家の廊下を歩いている。
「そういや、佑月はまだ親父に会った事がなかったな」
「うん、ないよ。かっこいいんでしょ?」
「まぁ、歳には見えないな」
「今日会えるの?」
「俺は会うためにここに来てる」
「いいな、僕も会ってみたい」
だってみんながかっこいいとか言うんだもん
誰だって気になるよ…
「話が終わったら呼んでやる」
「本当!?」
「ああ、ただし目移りしたりはするなよ」
「だからしないってば」
「ならいいんだがな」
本当は司のお父さんが、どれだけかっこいいとかは
興味がないって言ったら嘘になる。
だけど、本当の理由は司を育て、黒崎組のトップである人がどんな人か気になった…だから僕は会ってみたい。
それに、いくら司のお父さんでもやっぱり
僕をここまで救ってくれた司には敵うはずがない。
こんなにカッコいい人なんて、他にはいない。
たとえそれが、親でも。
桃子さんには悪いけどね!!!
「佑月また、前の部屋で待てるか?」
「うん、平気」
いい子だなと頭を撫でられ、再び手を繋ぐ。
僕はもう子供じゃないのに、司に頭を撫でてもらえるのが嬉しいし、いい子って言われるのがとても心地良かったりするんだ。
「今日は皆外に出ていて、誰もいねえんだ」
「忙しんだね」
「まぁ、ただヤクザをしているわけでもないしな」
「どういうこと?」
「普通に経営もしてるって事だ」
「え?そうなの?」
「ああ」
経営って…店があるってこと!?
「え、え…?司は社長?なの?」
「まあ、そういうことだな」
「すごい!すごいね!司!」
「じゃなきゃ、こんな暮らしできねえよ」
「確かに…」
あのマンションにあの車…
そして何より司の服…いつも高そうな服を着ている。
ならばそれは納得だ。
「みんなも?店を持ってるの?」
「まあ、黒崎組が経営している店の店長をして貰ってるだけだ」
「すご…」
「経営なんて金と知識さえあれば誰でもできる。お前でもな。」
「できるわけ!」
「まぁ、させるつもりはないから心配するな」
「むっ…できるもん…」
「どっちなんだ」
不貞腐れた僕をみて司は少し微笑んだ。
多分、司は僕には経営が出来るわけがないと
言ったのではなく、させるつもりはないと言ったんだ。
それはきっと、司が僕を甘やかしたいだけなんだろうけど…
「僕だっていつか働くからね」
「それは許せそうにないな」
「なんで?」
「お前に変な虫がついたらどうする」
「つかないって…」
「どうだかな」
たわいも無い話をしているうちに
前にも来たことがある部屋に着いた。
「じゃあ、暇だろうけど少しの間ここで待ってろよ」
「うん」
「終わったら迎えにくる」
「お父さんに会うの楽しみにしてるね」
「そこらへんの親父となんら変わりねえよ」
そう言って司は部屋を出て行った。
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