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「親父、司だ。佑月を連れてきた」
「入れ」
そう言われ司は扉を開ける。
扉の向こうには、桃子さんとその隣に座っている男の人…きっとあの人が司のお父さん。
司に雰囲気はかなり近く、それでいて強そうな人。
尚且つ、俳優さんとかにいそうな整った顔に鍛え上げられた肉体。いや…そこらへんの俳優さんよりも、確実にかっこいい。だけどやっぱり黒崎組の会長なだけあって、かなりのオーラがある人だ。
そんな人を目の前にして、さっき収まった緊張がまた、心臓音と共に動き出した。
「君が佑月くんか、桃子の言う通り綺麗な子だ」
「えっ…と…あのっ」
「佑月、大丈夫だ。だから落ち着け」
そう言った司はクイッと僕の腰を自分の方へ引き寄せる。
なんたかお父さんの前でちょっと恥ずかしい気もするけれど、逆に言えば隠さず堂々としてくれるのは嬉しい。
「親父、俺の大事な…佑月だ」
「確かに可愛らしい子だ。お前にはもったいない」
「自分でもそう思うよ」
そんなの逆なんだけどな…
僕にとって司みたいなカッコよくて強い大人が
一緒にいていいのかなって思うくらいなのに。
「それがお前のイロか」
「ああ」
色…?イロ?…イロってなんだろう?
「イロって…?」
「恋人ってことだよ、佑月くん」
恋人っ…。
そういえば、お互い好きなのに
付き合っているか?と聞かれたらよくわからなかった。
それに考えた事もない。
恋人という存在を。
「恋人…司、僕ら恋人なのっ?」
「今更何言ってんだ、当たり前だろ」
「いいの…?僕が恋人で」
「俺がお前じゃなきゃダメなんだ」
そう言った司の方を見上げると
優しく微笑んで僕の頭を撫でた。
嬉しい…
本当に今僕は幸せだ。
「僕も…司がいいっ」
「あらあら、結局貴方たちも見せ付けてくれるじゃない」
「そうだな、司泣かせるんじゃないぞ」
「ああ、わかってる」
少し怖かった司のお父さん…だけど話を聞いていると
段々と優しさが伝わってきて少し怖くはなくなった。
「佑月くん、何か困った事があればいつでも俺の元へ来ていいぞ」
座っていた椅子から立ち上がり、佑月の元へ近づくと
そう言って、頭を撫でられた。
大きくて暖かい手…とても心地がいい。
「はいっ!ありがとうございます」
笑顔でそう応えると、急に後ろからクイッと引かれ
バランスを崩し転けそうになったが、
後ろからそれを司は支え、僕の目を隠すように目のところを手で押さえ引き寄せた。
「親父、佑月にあまり触りすぎんなよ」
「なんだ、これくらいで嫉妬か?器の小さい男だな」
んー、見えない。
クイクイとそのまま司の袖を掴み、離してと訴える。
すると手を離し僕の方を掴むと司は扉へと向かう。
「まぁ、そういうことだから今日はもう帰る」
「なんだ、もう帰るのか。飯でも食っていけばいいのに」
「まだ仕事が残っているんだ」
「なら、仕方ない。また時間がある時にでもしよう」
「ああ、土産でも待ってることとするよ」
「あら、生意気ね」
なんだかんだで、仲がいい黒崎家に僕は微笑ましく
思わず笑いそうになるのをこらえて見ていた。
「仕事はきっちりするんだぞ」
「わかってる」
僕の手を引き部屋を出ようとする司を
少しだけ待ってと止め、お礼を言う。
「ありがとうございましたっ!また来ます!」
「待ってるよ」
そう言ってくれた司のお父さんは
笑顔を向けてくれた。
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