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それから僕は司の膝の上に乗りながら
ボーッとテレビを見ていた。
司はと言うと僕を後ろから左手で抱きしめながら
何やらスマホをいじり誰かと連絡していた。
さっきから入っているこのドラマ…
恋愛ドラマかと思えばただの恋愛ドラマではないらしい。マフィアの恋人がいる女性の苦悩を描かれたストーリーのようだ。それを見てなんだか僕と同じ境遇なのではないかと見ていると、だんだん自分と重なって見えてきて見るのが辛くなってきた。
マフィアの彼が敵と交戦し彼女を守るため打たれてしまい重症っていうようなストーリー。
一度僕も同じような経験をした。
今回司は何も言ってくれないけど、また危ないに決まってる。また司が倒れたら?司が死んでしまったら?
そんな事ばかり考えてしまい、どうしようもなく手が震え始める。
そんな佑月に気づいた司が持っていたスマホを放り投げ
右手で僕の手を握る。
「佑月?どうした?」
「え…いや…なんでもなっ…」
「正直に話せ」
ソファに座っていた佑月の、後ろに立っている司は
佑月の顔を無理やり後ろに向かせ司と目が合うように固定された。
司のこの顔から逃げる事なんて僕はできない…
「あ…う…」
「手の震え止まらないな」
そのままそう言うと佑月の顔から手を外し
ソファに座って佑月を優しく抱いた後キスをする。
「なんでも言えよ、小さい事でもだ」
「んっ…うっあ…」
「佑月、ほら」
今一番不安なのは司かもしれない。
なのに僕なんかがわがまま言ってもいいのだろうか?
だけど司に見つかってしまった今話すしかない。
黙っていたら余計に司の心配事を増やすだけだ。
柚月は小さく自分の唾を飲み込むようにゴクリとした後小さく深呼吸をして話した。
「司…がまた怪我…したりしたらやだっ…」
そう言ってしまえばあとは悲しくなるだけ。涙が止まらない。止まって欲しいのに溢れてくるのはどうしてだろう。
「嫌なの…もうあんな想いするのは嫌っ…つかさぁっ…死なないでっ…置いてかないでっ…」
「俺は死ぬつもりはない」
「でもっ…でも…」
司がいくら強いと言っても銃弾には敵わない。
司にはこれ以上傷ついて欲しくない。
それは司の仕事を否定することになるから口に出しては言わないけど…もっと普通に出会えたらななんて思う僕は愚かだろうか。
「こんな泣き虫置いていけるわけないだろ」
「うっうぅ…」
そう言った司は僕を抱きしめ、優しく包み込む。
ああ…この幸せがいつまでも続いてくれればいいのに…
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