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トイレへと連れていかれ、狭いトイレの中に
押し込められ、鍵を閉められる。
こんな狭い中に2人…しかも距離が近い…
あまりに恐ろしく声が出ず俯いていると背中に手を置かれる。
「大丈夫?吐けるなら吐いたほうがいいよ?」
そう話した彼は僕の背中をさすり俯いた顔を覗くように下から話しかける。
彼は本当に勘違いをしているだけなの?
僕が具合が悪くて顔色が悪いって?
だとしたら、この人は本当に裏社会の人ではないのかもしれない…。ホスト…とか?
だとしても本当はあなたが怖かっただけです。だなんて今更言えないし、具合が良くなったと言って早くここから出るしかないみたい。
「あのっ…もう大丈夫なので…」
「本当に?」
「はい、ありがとう…ございます…」
その言葉と同時に笑い声が彼から聞こえたような気がして、気のせいかと顔を上げてみれば、顔を押さえながら口元だけが見え、その口元は白い歯を見せ笑っていた。
「ハハッ…おかしいね君。本当は俺が怖いんだろ?」
「えっ…」
「俺はさ仕事で怖がられる事はあってもプライベートではあまり怖がられる事はないんだよね」
「…っ」
やっぱり…そっちの人なんだ…。
こんな狭い場所で2人きり…逃げ場ない。
「君が初めてだ。君は何に気づいたのかな?」
そう聞いてくる彼は楽しそうな顔で僕の顔を見る。
言わなければ、確実に脅しにかかってくるんだ…。
だから言わないよりは言った方がまだマシな結果になるかもしれない。そもそもマシってなんだろう?
今以上に怖い事って…殺される?
「僕を殺すの?」
「ふっっ…ははっ!質問を質問で返すのか?しかも殺すかだって?まぁ、そうだなぁ…君が僕の何を見て怯えているのか教えてくれたら殺さないよ?」
彼が言っている事は本当か…嘘か…
そんなのわからない。
もうどうとでもなれっ…
「懐の…」
「懐?」
「懐に入ってるそれ…が銃かなって…」
「ああ、これのこと?」
そう言って彼は懐から黒いものを出し僕に見せる。
ああ…やっぱり本物の銃だったんだ…
普段目にすることはないそれは僕にとっては珍しく恐ろしいものだった。いかに普段から僕の前で司達が銃を出さずに隠していたかを思い知らされる。
でも不思議と本物を見た瞬間…恐怖はさっきの半分までなくなっている事に気づく。
「あれ、あまり怖がらないね?ああ、触りたい?」
触りたい?僕はこれに触れたいの?
わからない。自分の今の感情がわからない。
「わからない…」
「ほら手出しな」
グイッと手が引っ張られ、ズシリと手には彼がさっきまでもっていた銃が僕の手に握られていた。
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