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プロローグ2 先輩・倉島和樹
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*
【和樹先輩】
「俺、みーくんの事が好きです」
【緑】
「……!」
【和樹先輩】
「急でごめんね。
だけどこれだけは本当に伝えたかったんだ」
食後。
裏口で和樹先輩に言われた言葉。
「好き」。
何回もこの数日で聞いたきた言葉なのに、
他とは何か違う意味を持っているように感じた。
それは、言葉にして言わなかった人ばかりだったからかもしれない。
だから純粋にこの言葉は胸に響いて、思わず顔が赤くなる。
【緑】
(まさか先輩がそんなことを想ってたなんて……)
ノイズ混じりの、あの心の声から。
どういう訳かあれからずっと先輩の心の声を聞いたけど、
まるで相容れないように聞こえなかったのだ。
【和樹先輩】
「返事はいつでもいいし、待つよ」
【緑】
「は、はい……」
【和樹先輩】
「……やっぱり男からは気持ち悪いかな?」
イエローアイが細められしょんぼりした顔をされると、
思わず同情という名の良心が痛む。
けど恋愛対象としては好きじゃなかったし、今OKするのもちょっとあれだ。
かといって好きになれるかなれないかといったら、好きになれるかもしれない。
それくらい誘惑するのが上手くて、かっこいいんだから。
【緑】
「気持ち悪くないです。
けどびっくりしたというか……」
もう俺、男に好きになられてもむしろ大歓迎っていうか……。
抱かれてもいいっていうか……。
気持ちの変化って、怖いな……。
【緑】
「……お、俺も男の人、好きになるんで……」
この告白が罰ゲームの類いではなく、本気なんだと心の声を聞かなくても分かる。
だって一緒に過ごしてきて、人を騙したりなんかしないって信じてるから。
思わずカミングアウトすると、先輩は一瞬驚いた顔をしつつも、すぐに笑顔になる。
【和樹先輩】
「じゃあ、俺にもチャンスあるって……期待してもいいってこと!?」
【緑】
「……期待しててください」
【和樹先輩】
「ありがとう。嬉しい。
俺、絶対みーくんのこと惚れさせてみせるから」
くしゃっとした笑顔は、今まで見たことが無いような綺麗な表情だった。
思わずきゅんとしてしまう。
でも先輩、こんなにピュアだから分かったらきっとショック受けたりするかもしれない。
伊吹とキスをして、凌馬とはもうすでにキスもエッチもしちゃってて。
うわなんか俺、ビッチ……じゃん。
それでも分かんないんだよ。
人の本当の気持ちなんて、……【あの時】みたいに。
先輩が近づいてきて軽くキスをする。
ほっぺた。
キスをされた所が微かに熱を帯びて、意識の始まりの合図みたい。
【緑】
「……なんか、ドキドキします」
【和樹先輩】
「……俺も」
そのままぎゅって抱き締められて、心臓の拍動を感じる。
エプロンから香る淡い匂いが、すごく心地よい。
……先輩の香り。
【和樹先輩】
「俺、緑くんのことが好きすぎてこうして触れちゃうかもしれない」
【緑】
「……いいですよ、好きにしても」
【和樹先輩】
「……っ、理性保てるかな……」
その理性が保てなくなると、凌馬みたいになるのかな。
それはそれでいいかもしれない。
だって俺、依存されるの好きだし……ね。
【和樹先輩】
「(※※、※※※※※※※※※………※※※※※※)」
でも、どうして和樹先輩の心の声……聞こえないんだろう。
それだけが俺の中で、ひたすらに渦巻いていた。
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