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https://www.alphapolis.co.jp/novel/735776822/427368852
「つよくてもろい君たちへ」というタイトルでアルファポリス様への移行を始めました
ーーーーー
「お前は大丈夫」
うん、僕は大丈夫。
「バカ!!大丈夫なやつがそんな顔するか!」
ねぇ、あなたはなんでそんなこと言ってくれるの?
「強くなくていい……だから……」
だめなの。僕は大丈夫で、強くて、いい子じゃなきゃ……
「ぼくは、大丈夫……」
きつく閉じた目の端から涙が伝い落ちた。
大丈夫。
******
その言葉は小さなころから身近にあった。
体の弱かった兄。死に至る病は患っていなかったものの、何度も入退院を繰り返しすぐに風邪をこじらせる。
両親は気が気じゃなかった。
そんななかで生まれた僕は健康体。
誤差の範囲内だけど、歩くのも言葉を覚えるのも早かった。両親はそんな僕を見て安心してた。
「ああ、この子は大丈夫」
僕が4歳になった時、今度は双子の妹と弟が生まれた。
体の弱い兄と赤ん坊の双子。両親は疲れ切っていた。
「ごめんな、アキは大丈夫だよな」
「アキならもうお兄ちゃんだしうまくやれるから大丈夫よね」
一生懸命に練習したお遊戯会。熱を出して入院してしまった兄。
子どもながらに二人がつかれていることは感じていたし、「お兄ちゃん」といわれたら何でもできるような気がしたからうなずいた。そうしたら二人ともすごくほっとしていたから、それは正解だったんだと思う。
本当は、さみしかった。
どちらも見に来てくれない子は、周りにはいなかった。
お遊戯会の後で渡すはずだった家族への手紙は、持って帰る途中でカバンの中でぐしゃぐしゃになってしまった。
だけど、僕はお兄ちゃんだった。
妹と弟がぐずって、お兄ちゃんも熱で大変なのに、僕までわがままを言ってもいけない。
「アキ、どうだった?」
やつれた顔で、それでも優しく頭をなでてくれたから。
僕はにこにこしながら言った。
「すごくたのしかった!僕、ひとりでも大丈夫だよ!」
だから、そんな顔しないで。
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