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兄さんが高校生になると、また状況は少しだけ変わった。
兄さんは空気がきれいで卒業したらほぼ間違いなくいいところに行けると定評のついている寮制度の高校に行ったから。
エスカレーター式の学校で、本当は小学校のころから通わせたかったと言っていたけれど、高校から行くことになったという。
兄さんから離れた僕のもとには、僕を気にするようになったクラスメイト達が残った。
それでも「お兄さんは元気か?」という言葉は世間話の一環として何度も出てくるから、自分からあまり近づくことはなくなった。
でも、いいこともあった。
中学3年最後の夏、県大会で出会った健斗。兄さんのことも何も知らない、ただ泳ぐのが好きなアキという人物だけを知っている健斗と僕は恋に落ちた。
付き合い方は幼稚で、二人でネットで調べながら健斗の家で最後までした。抱かれているときは、痛みもあったけれど自分だけを見てくれて、自分だけにその欲をぶつけてくれる本能に身を任せた健斗の姿に頭が真っ白になるくらい恍惚とした。
「大丈夫、俺が守ってやるから」
こどもっぽい言い方で頭をなでてくれた健斗に、僕は本気で甘えた。
全寮制にひとりは心配だから、と両親に頼まれて兄さんの高校を受けると決めたときも、健斗は「お前が心配だから一緒に行くよ、大丈夫、俺は他の奴らと違うから」と優しく抱きしめてくれた。
だから、しんじてる。
しんじてた。
大丈夫、大丈夫。
健斗は、兄さんに会っても僕のことをちゃんと見てくれるから。
「アキ、大丈夫?」
心配そうに顔を覗き込まれて、健斗に僕は笑う。
「大丈夫だよ、ほら入ろう。兄さんも待ってる」
学校側の配慮か、兄さんと同室になった僕は健斗が挨拶をしたいというので部屋に連れてきていた。
ぞくりと背筋に嫌なものが走ったのは、気づかないふりをした。
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