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だいじょうぶ
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「はじめまして、聖川健斗といいます」
人好きのする笑顔を浮かべた健斗に、兄さんはうれしそうに眼を見開いた。
「わあ、アキのお友達なの?」
「…水泳の大会で出会ったんだよ」
友達、という言葉に一瞬止まったけれどそう答えると、健斗はちょっとだけ眉をしかめてから口を開いた。
「アキの友達なんじゃなくて恋人なんです」
兄さんは顔を真っ赤にした。
「あっアキのこ、こい…」
健斗はにかっと笑って僕の腕を引っ張った。
「そうです、それもあってお兄さんとも仲良くなりたくて!よろしくお願いします!」
同性愛も今の時代は珍しくない。だからって初日にいきなり…ちらっと兄さんの顔を見ると、兄さんは状況がうまく呑み込めないようだった。
「アキは、健斗君と付き合ってるの?まゆちゃんは?」
まゆ、それは兄さんが中学にいたころ最後にできた彼女だった。まだ付き合っていたと思っているのだろうか。
「もう別れてるよ」
「どうして別れたの?前にもいた彼女さんたちすぐ別れちゃったけど…」
その質問には答えない。
兄さんと付き合いたいから別れてくれ、と言ってきたのは最初の一人だけだった。でも、他の子たちも「お兄さんの方が気になる」「なんかアキ君は一人でもいいんじゃないかなって」と口々に言っていた。
だからって、それを直接兄さんに伝えるのは間違っている。
「なんでもないよ、でも健斗と今は真剣に付き合ってるから」
兄さんはまた目を見開いて、それからうれしそうに笑った。
「そっか、アキが幸せならいいよ」
うん、兄さん、僕は幸せなんだ。心の中でそう答える。
ちいさいころから言われてきた大丈夫の言葉は、健斗の口から出てくると魔法のように僕をやさしく包んでくれる。
だから、前みたいに兄さんに嫌な気持ちを抱いたりしない。
子供みたいに自分だけを見てほしいなんて馬鹿みたいに父さんたちにイライラしたりしない。
「あ、じゃあ僕は明日から一人で行くね」
「いやいや、一緒に行きましょうよ、俺お兄さんとも仲良くなりたいんです」
だから、この言葉だって素直に受け止められる。
健斗は、兄さんと僕の恋人として仲良くなりたいんだって。
それでもどこか不安な気持ちもあって、兄さんにばれないように健斗の方を見つめると、健斗はそれに気が付いてくれる。優しい笑顔を浮かべてうなずいてくれる。
「そ、そっか!ありがとう、じゃあ明日から健斗もよろしくね」
満面の笑みを浮かべる兄さんは、純真無垢だ。
きっと今日からこの学校での生活はとても楽しいものになる。僕はそれがすごくうれしくて、大きくうなずいた。
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作者です
どうしても攻めが出るところまでは今日中に投稿したいのであといっぽん本日中にあげます…
明日以降は1日の投稿数は安定しますのでよろしくお願いします
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