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雨宿りしましょ2
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※視点交錯します
side:アキ
やばい。
直感的に思い浮かんだのはその一言。
たしか、保健室の先生だったと思う。
「な、なんで…」
動揺しているのは丸わかりでも、聞かずにはいられなかった。
先生は眉を寄せた。
「そりゃこっちのセリフだ。こんな雨の日にこんな大穴あいた倉庫で寝る気か」
あ、バレてるんだ…
でも、ここを追い出されたら本気で行く所ない。
有紀に迷惑をかけたくないし…どうしよう。
「そ、そういうわけじゃないですよ、ただ…」
言い訳したくても何を言えばいいのかわからない。
その間にも雨足はだんだんと強くなって来て、身体中はもうびしょ濡れだ。
この間の一件以来、あまり休むこともできなくて体調は良くなかった。だんだんと寒くなってくる。
先生は近寄って来て傘にぐいっと僕を引き寄せた。
「お前顔色悪すぎるぞ。部屋に…」
その言葉の途中で、先生は言葉を止めた。
急いで先生から離れようとして、腕をガッと掴まれる。
「離してください…」
「は?馬鹿言うな。お前体調どんだけ悪いんだ」
押し問答するのも嫌で、腕を引き離そうとするけれどうまくいかない。そのうち足元のぬかるみにバランスが崩れて倒れそうになる。
あ、だめ
そう思った瞬間、先生に腕を引かれて抱きしめられた。
******
side:英人
こいつ雨で濡れてるとは言え顔色悪すぎないか?
そう思いながら抵抗しようとして転びかけたアキに目をやる。細身とは言え、運動部でそれなりに活躍をしているやつにしては体力がなさすぎる。
部屋に、と言った瞬間に目に入ったのは言いようのないアキの表情だった。
今にも泣きそうで、全てを拒絶するような。
「…部屋に戻らなくていい。ついてこい」
ついてこい、と言いながら腕を引くと、もう抵抗する力もないようだった。
「どこに…」
小さな声で聞かれて、俺が養護教諭って知らないのか?と疑問に思う。
「保健室」
「…なんでです」
「お前自分の顔色悪いのわかってる?」
そういうと、アキはじっと俺を見た。
「……大丈夫です」
「馬鹿言うな。俺は養護教諭だぞ?お前の自己申告より俺は自分の見る目を信用するわ」
アキは困ったように視線を落とした。
「…僕大丈夫です……」
「そんなに信じようのない大丈夫聞きたくもねえ」
バッサリ切り捨てると、もうアキは何も言わなかった。掴んだ腕は雨で冷え切っている。
はやく、あたためてあげないと。
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