アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
嫌い2
-
体の違和感に気がついたのは、授業も中盤の頃だった。最初は周りを見たくなくて意図的に下げていた頭が異様に重く感じる。
ぐわんぐわんと頭に響く感じがして、まるで熱でも出ているみたい。少し不調を自覚すればその違和感は強くなってくる。
もう、このまま寝てしまったらどんなに楽だろう。
「そこ!何ぼうっとしてる!」
でもそんなのただでさえ目の敵にされてる僕が許されるわけないし。
「すみません…」
「先生、篠原くん体調悪そうですよ。保健室行かせていいですか?」
スッと間に入ってくれたのはクラスの委員長…と呼ばれてる三葉智紀だった。「なんか見た目が委員長タイプだから!」という理由で、中学に委員長に三選されてからついたあだ名らしい。
中身もまさに委員長タイプで、生真面目で、あまり噂に左右されたくないんだと僕にはっきり告げた人でもある。あまり近しいわけではないけど、中立を貫く姿勢は尊敬も覚えている。
「何言ってる。お友達のところ泊まり歩く元気があるやつが体調崩すか?」
ビニール袋をボンボンと叩かれる。
「でも……」
「三葉くん、大丈夫だから……」
あまり注目されるのも嫌で大丈夫、と答えると三葉は不満そうにこちらを見た。
でも、俯いてやり過ごしていれば授業も終わるし、そしたら休み時間に寝ればいい。休み時間なら夢を見るほどの長い時間もないだろうし。
ふっと養護教諭の……早川先生に朝言われたことを思い出した。無理せずに保健室に来るようにと言った目は真剣なものだった。
でも、わざわざ行くほどじゃないし。
行ってたらもしかしたら今夜他の場所に移れないかもしれないし。
そっと先生の言葉を頭から追い出して、また始まった嫌味のパレードを黙って受け止めた。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
34 / 155