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我慢2
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side:英人
やはり、かなり体調は悪い。
前を早足で歩くアキはふらふらとしていた。本当は支えるなりしてやりたいが、朝よりも不安定に見えるアキに下手に接触すれば泥沼になりかねない。
「さ、ベッドで寝てな」
保健室でも出来るだけそっとしておこう。
ベッドに腰掛けたアキにそう声をかけてカーテンを閉めると、隙間からホッとした顔をしたのがわかる。少なからず、1人になれたり世話をあまり焼かれない方がアキの心は楽なのだろう。
「喉乾いたら言ってなー」
かるく声をかけてからデスクに戻る。
本当は寝ているか、熱がないかを確認したいところだ。でも熱を明確な数字で示してしまうとアキは追い詰められてしまいかねない。
無理させない空間で休ませてやりたい。
「保健室、嫌そうだなぁ」
アキのベッドに届かない声でそう呟く。真奈美の話からしても保健室にはいい思い出はないのだろう。
まあ保健室でいい思い出などあまり出来るものでもないか。
「さて…」
時計をちらっと見る。訪問者の予定は昼休み。
それまでに、アキはどれくらい休めるか。
「ちょっとでもいいから寝てくれよ」
そう祈りながら、ラジオの音量を少し上げた。
アキは、1人の静寂な空間もあまり得意には見えなかったから。
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