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訪問者
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*視点交錯します
side:英人
最初はベッドの軋む音がしていたが、その音もなくなる。
どうやら眠れているようで特に魘されている声も聞こえてこない。ホッとして仕事をしながらアキの鞄を手に取った。
「んーどこにやったかなアイツ」
朝、間違いなく膨らんでいたはず。中身が着替えだと言うことはすぐにわかった。
体調が悪いのに保健室に来るのを頑なに拒んだりとあまりうまく頼ってくれない。
白樺にアキの荷物について聞いてみようか、と思ったがもしも彼が知らなかった場合は余計に追い詰めることにもなりかねないのでため息が出る。
今日も当然俺の部屋に連れて行く気だった。別に自分の服を貸すのは構わないが、あまり良い反応はされないだろうと思うとかわいそうでもある。
考え事をしていると3限のチャイムが鳴った。
確かあの人が来るのは昼休み。そもそも昼休みに一度こちらへ来るように伝えようとして教室に赴いたのだ。
訪問者の顔を想像する。あの人は人を見るのは得意な人だから、少しはアキも話をすることができればいい。
チャイムでもアキが起きていないことを確認だけすると、仕事に没頭していった。
***
side:アキ
コンコン
ノックの音で目が覚めた。まだ頭はぼんやりしてるけど先ほどよりはマシになった。
カーテンをぼーっと見たらいきなりそれが開かれて身体が硬直する。
「ん、秋起きたか」
緊張に気づいたのか、優しい笑顔で早川先生が声をかけてくれる。
「あ…」
「喉乾いた?今お客さん来てるんだ。秋もおいで」
なんでお客さん?怪我でもした人がいるのかな。
僕が会う必要ある人?
言いたいことはあるけど形にはならなくてじっと先生を見る。先生はそんな僕を見てにやってした。
「なんかそんなに見ほれられちゃうと困るなー」
「なっ…」
そういうわけじゃない!
そう言いたいけどカラカラの喉からはうまく声が出ない。仕方ないのでゆっくりと体を起こして立ち上がるとさりげなく先生が手を貸してくれた。
こういうスマートなところがモテるのかなぁ。
そろそろと歩いて訪問者の顔を伺う。
「や、篠原秋くん」
「え……校長、先生?」
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