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きょうだい
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ゆっくりとしたペースで寮へと向かう。
そういえば、布団をもらう、と言ってたけどどこでもらうんだろう。
まださっきの恥ずかしさが抜けきらないのでうまく話しかけることもできずきまずい沈黙が続いていた。
「シュウは、校長好き?」
突然話しかけられて一瞬肩がびくってなる。
「あ…はい」
「校長、シュウのこと孫見てるみたいだって。ちょうど同い年のお孫さんがいるんだ」
「へぇ……たしかにおじいちゃん、みたいな」
先生が笑いはじめる。先生相手におじいちゃんは失礼だったかな。
「喜ぶと思うよ。頭なでてもニコニコされててちょっと嫉妬したけど」
茶化すように言われてまた恥ずかしい。
きっと先生は僕をからかっているだけなんだろうけど、あんまり記憶が残っていないせいでもしかしたら失礼なことをしていたかもしれないと不安になる。ただ、校長に触れられたときはすごく安心したことは覚えている。
「まぁ撫でられるのは安心するけどちょっと恥ずかしいよね」
俺もここに就任してから何回か撫でられた、と笑って自分の頭をかく。校長はみんなのことをこどもとか、孫みたいに見てくれる人なのかな。
兄さんにとってもここに来てよかったと思う。こんな僕のことを心配する人がいる場所なら、兄さんは楽しい学校生活を送れると思うから。
「シュウは撫でられるの好きな子だった?俺はすぐに恥ずかしいからさわんないでー!モードに入ったからなぁ」
「僕は…お兄ちゃんにずっと引っ付いてる子でした」
今もだけどね。
そこまで体格が違ったわけじゃないけど、兄さんの体はあの頃の自分には大きく見えた。そこにくっついていれば何も怖いものはないくらい。
「へぇ、仲良しー俺は姉さんがいたけどけんかばっかりだったなー」
「喧嘩…したことないかも」
今がはじめてなのかもしれないけど、これはけんかですらないのだろう。
「じゃあ今回が初めて?さみしいんじゃない?」
あえて軽い言い方で言われる。
たしかに、ちょっとだけさみしい気持ちもある。それ以上に近づくことが今は苦しい。
「…大丈夫です」
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