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「そうそう、真田先生に服没収されたんだろ?」
「は、はい」
「どうする?まあ割とすぐに返せるとは思ってるけど、とりあえずは俺のでいい?」
先生の着たらぶかぶかだと思うんだけどな。
そう思いつつも他の案も思いつかないのでうなずく。たぶん部屋に戻ればあと数着はあるかもしれないけど、昨日の今日で帰るのは怖い。
「じゃあ適当に寝室のタンスからとってな」
「ありがとうございます」
「いえいえ」
先生はくすくす笑ってる。
「先生って、話し方ちがいますね」
「…ああ、昨日とかと?」
「だって、馬鹿とか言ってたのに……」
そもそも早川先生のうわさはもとから知ってる。保健室にお世話になることもあるだろうからと早川先生のことは周りから情報を集めた時期もある。
面倒見がいい人、さぼりたいとか、そういう生徒の気持ちにもそれなりに理解がある人。だけど言葉遣いは荒っぽくて兄貴肌ってところのある人。かっこいいから人気があって、生徒の中にも早川先生にあこがれる人は多いけど教師たちの中でもかなり気に入っている人がいるらしいということ。
「俺でもちびっこ相手には優しい話し方するってことだよ」
「へぇ……僕ちびっこ扱いですか?」
優しい話し方のおかげで少しだけ緊張がほぐれているのも事実だけど、子ども扱いの話し方はどこかこそばゆい。
威圧感をできるだけなくそうとしてくれているのは分かってる。だからあれだけ嫌だった他人と過ごすことも、寝ることも許容してしまっているんだ。
「そりゃそうだろ。それなりに年も離れてるしさっきも言ったけどお前は弟扱いだからね」
「弟…」
「シュウは妹とか弟いるんだよな?お前も甘そうなのに俺が甘いのはダメなの?」
二人の姿を思い浮かべる。
確かに、ちょっと甘やかしているのは分かってる。だけど、高校生にもなった自分が弟だからと甘やかされるのはちょっと恥ずかしい。
それに、両親はあまり二人にも構えなかったから。ちょっと兄さんも落ち着いて高校生になって離れて暮らすこともできるほどになったので今は前にさみしい思いをさせた分甘やかされてちょうどいいと思う。
「僕は、高校生です」
「高校生はお前が思ってるより大人じゃないよ。悲しいこともあるし嫌なことから逃げたくなるし甘えたい気分になるときもある」
早川先生も甘えたい気分になったことがあるのだろうか。
あまり、僕にはわからない感情。僕は甘えるよりも甘えられる方が好きだった。
ちょっと困った僕に気が付いたのか、先生はぽんぽん頭をなでた。
「いつか分かればいいから大丈夫だよ」
いつかって?それがわかるころには僕はどれだけ歳を重ねているんだろう。
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