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*ある少年の夜の話2*
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「え…?」
耳を疑った。
昼間、突然現れた目の前の神経質で感動物の大好きな先生は、芝居がかった仕草でメガネに手をかけた。
「まったく…残念だよ。君の弟がまさか本当に他の人の部屋をあちこち寝泊まりしてるとはね」
授業中、先生はアキの鞄から着替えの入ったビニール袋を没収したという。友達のところに泊まり続けているならわざわざ持ち出したりしないだろう。
なら、今日の夜は帰ってくる?
それとも、他の人の部屋に移るの?
返信の来ないメールを思い出す。部屋に帰ってくるとは思えない。
不安に思いながらいつもよりも遅い時間まで起きていたけれど、やはりアキからは何もなかった。
アキは、誰の部屋に泊まっているんだろう。
あの日、汗を浮かべて上気する体を投げ出していたアキ。乱れた息が、先ほどまでの行為を示していた。
それでも、アキを信じていた。アキは健斗だけにああなったんだ。健斗から離れれば2人とも元の優しい2人になれる。
だけど、多くの人の部屋を渡り歩いているということは。
前々から流れていた噂が頭の中に再生される。あえて否定しなかったけれど、アキも否定しなかったのはそれが真実だったからなのかな。だって、今のアキの味方は殆どいないこともわかってる。
もしも肉体関係がないとしても、アキは他の生徒にもリスクを負わせようとしたということだ。自分の悪かったことから目を逸らそうとして他の生徒に違反を強いるなんてさせてはいけない。
だったら、やはり兄である自分が正してあげないと。
明日、アキに会いに行こう。
そう思うと、それはとても良い案に思えた。
あれだけ会いたくなかったのに、兄としての口実が生まれたら会いに行く勇気が出る。
この学校に入るまでずっと一緒にいたから、やはり寂しい。そんな本音もこっそり交えて。
決意してベッドに潜り込むと、心地よい体温の健斗がそっと抱き寄せてくる。
ああ、僕は大丈夫。だって守ってくれる人がいる。
その事実が心地よくて、僕はそっと目を閉じた。
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