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報告2
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「シュウ?」
母さんからの返事を見る勇気はなくて、スマホの電源は落としてしまった。
「あ…服、借りてきました」
不思議そうな顔をした先生に、借りた服を入れた袋を見せるとニコッと笑われた。
「そうか。白樺、何か言ってたか?」
「いえ…」
「へえ、あの服って結局本人の成長…貯金だっけ?なの?」
「あ、いえ。お兄さんのだって…」
「お兄さんかあ…かなり背が違うんだな」
「……有紀も近いうちにはこれが入る大きさになるそうです」
「……夢は自由だからな」
その言葉に思わず吹き出す。
「それで?スマホ握りしめて帰ってきた理由は?」
「え?」
びっくりして手元を見ると、無意識に握りしめていたスマホが目に映った。手がこわばっているのがわかる。
「あ…」
「…お兄さんから何か?」
ああ、そっか。兄さんから連絡が来たと思ってるのか。
でも、さっき会ったことを言ったら先生は困るだろうか。なにより、なんと言えば良いんだろう。
「…いえ!なんでも」
「……そう?」
完全に信じきってない声の先生。
それでも、それ以上は追求してこなくて安心する。
「あ、そうそう。有紀が部屋に移ってきてもいいよって言ってました」
「……あ?」
「今、有紀1人部屋になってるから……」
「あー、そっか。でも部屋移動してる理由が理由だからしばらくはこの部屋だね」
やっぱり先生はやさしい。
「しばらくはこの部屋」にいてもいいと許可をくれるんだから。
また、なんだか涙腺が緩んでしまいそうで慌てて部屋に荷物を運びに行った。
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