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養護教諭
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side:秋
兄さんと母さんに「家族ではない」と切り捨てられてから3日になる。現状は想像していたよりも何も変わらない。
まだ、先生のところにいて、先生は僕を「シュウ」と呼んでる。有紀は時々「僕の部屋に早く移動できれば楽しいのに」と言いつつもニコニコと見守ってる。
真田先生は相変わらず。
クラスメイトも、うわさも何も変わらない。
「…失礼します」
部屋に戻るのは先生と一緒にだから、学校が終わるとすぐに保健室に行くようになった。
時折、水泳部の仲間や先生から視線を感じることはあるけれどそれも無視して保健室へ急ぐ日々。
先生は人気があるけれど、保健室をグダグダ先生との遊び場にするのに使うのは良しとしないので人はあまりいない。
だから、油断して普通に開けてしまった。
「…おや」
聞きなれない声に固まってそちらを見ると、早川先生よりも少し背の低いくらいのメガネをかけた男の先生が立っていた。若そう…白衣も着てるし保健の先生っぽいけど…。困惑しているのに気がついたのか、その人は口を開いた。
「外部進学生ですよね。私は小等部の養護教諭ですよ。気にせずにどうぞ、何かありましたか」
「あ……いえ、大丈夫です」
「大丈夫なのに保健室へ?」
冷たいような言い方。
ビクつきながら様子を見ても、うまく顔色は読めなかった。
「あの…早川先生は」
「すぐにお戻りになりますよ。今は小等部の移動教室に私が引率するものですから他の養護教諭達に引き継ぎをしているんです」
「そ、そうなんですね」
俯きながらそっと中に入る。
定位置になりかけている椅子に座ると、先生がじっと観察してきてるのがわかった。
居心地が悪くて視線をちらちらと動かす。
「……君は噂の子ですよね」
「なんの、噂のですか」
「時折耳にする、出来た別れた寝取られたの」
「無駄にリズムよく言うのやめてくださいよ」
はっきり言うなぁ。
苦笑いしながらそう伝えると、こくんと頷かれた。
「先生もそういう話好きなんですか?」
「…嫌いです。」
なら何も言わなければいいのに。
そう思っていると、先生は嫌なものを思い出したというように眉根を寄せた。
「恋なんて苦しい代物に簡単に手を出すなんて子供はやはり無知ですね」
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