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嫉妬?2
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side:英人
小等部に用があって離席した。普段は小等部の養護教諭をやっている沢本を残して。
急いで帰ってみれば、秋がすでに待っていた。
なかなか見ることはないだろう組み合わせに少し好奇心が頭をもたげたが、沢本の言葉にひどく心がざわついた。
「先生が…?」
窺うような視線に苦笑する。
「うん、ごめんね」
謝ると、秋は「いえ…そんな」と少しはにかんで答える。
別に、秋が誰かと仲が良さそうだから嫉妬したというわけではない。
それは、人間のエゴだ。
そして、養護教諭を選んだ自分のエゴだ。
世の中には素晴らしい理由で養護教諭になった人がいることを知っている。だが、自分の中に「子供は素直に感謝してくれる」という評価は存在していた。
全ての人の悩みを解決できるなど思い上がったことは言わないが、それなりに頼られ、力になりたいという欲求は強かった。
会って間もない沢本に、秋が心を乱され苦しんでいる原因であろう恋の話をしたのだろうか。
生徒が少しでも前に進むきっかけになったのならば心から喜ぶべきなのに、「自分ではない」という本来どうでも良いところになにか黒いものを感じてしまった。
その結果、こうして生徒に気を使わせる立場になっている自分はひどく情けない。
「ごめんね、シュウ」
もう一度謝って、前を向くふりをしてその顔から目を逸らした。
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