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刃
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「いってえ……お前教師じゃねえか!」
健斗が怒鳴る。
クラスの人たちも思わぬ事態にざわざわしてる。
僕はあっけに取られてただ先生を見た。
「教師のくせに、こんな、許されると…」
「お前に許されなくても結構」
冷ややかな声に体がすくむ。
絶対零度、と表現したくなる雰囲気は怖かった。
「今お前は何を言おうとした?」
「は?お前に関係ないだろ!これは俺と秋の問題で…」
「関係ないだと?」
「だって……」
「お前は篠原秋に何をした?」
静かな声が教室に響いた。
先生の言葉が意図しているのは、「そういうこと」なのだろうか。
「今お前が言おうとしたことは篠原秋に罪を被せる行為だ。この学校のガキどもが歯止めも効かない善悪の区別もできず調子にのる奴らばかりなのはお前がよく知ってるよなあ?」
「は?そんな言い方していいの?」
「お前らはそれが分かってるからこんなことになるまで放置してきたんだろう?」
放置。
健斗にも言われた言葉。
僕が、エスカレートするだろうと知りながら放置した。
「お前は被害を受けたのが篠原元だから怒ってるんだろう」
それは、言外に「被害を受けたのが篠原秋だったら怒らなかった」と囁いた。ズキズキと胸が痛む。
「当たり前だろ、恋人なんだ」
「……言いたいことは山ほどある。だが流石に何も言わないでやるよ」
眉をひそめた先生は、そこでやっと周りの視線に考えが至ったようだった。
怯え混じりの視線の山にも、冷たい視線を投げかける。
「事態は重い。……かなり大きく取り上げられるだろう。全員、覚悟をしておけ」
誰もが息を飲んだ。
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