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ある××の話
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ちがう。
○○が悪かったんじゃない。
あいつが悪い。
だってあいつが無責任なことばかり言うから。無責任で、見て見ぬ振りしてたから。
あいつが動けば、○○はこんなことには
あいつはのうのうと学校に来て
○○を傷つけたのと似た奴らとつるんでる。
「お前がやったことと何がちがう」
誰かが囁く。
何もかもがちがう。
だって、あいつは平気だった。
○○は、こんなに苦しんでるのに。それなのに、それなのに、様子をうかがうこともない。
最低でいい。
あいつが憎い。逆恨みだなんてわかってる。
わかってるんだ。
だけど、原因はお前だと呪ってやりたい。
同じだけ傷つけばいいのにと思う。
好きだったあいつの笑顔を思い出す。
もやがかかったように綺麗には思い出せない。それがとても悲しいことのような気がして○○の手をより強く握った。
好きだった。
針路を変更してもいいと思うくらい。
頼ってくれないあいつが好きだった。
嫌いだった。
頼ってくれない理由を考えるたびに落ち込む自分に気がついてしまうから。
「健斗……たすけて」
空気をわずかに震わせて助けを求める声に顔を上げる。素直で、頼ってくれる子。理想の自分に近づけてくれる子。
抱きしめて、目を閉じる。
好きだった。
好きだったよ、アキ。
もう過去形なんだ。
今は、憎い。
お前は、今も俺のこと好きなのかな。
分かりきった答えは、空に消えた。
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