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セイギノミカタ
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side:秋
分かってた。
そのうち、こんなことになるなんて。
「おい、篠原秋。こいよ」
付いて行ったらどうなるかなんて分かってる。
「お前みたいな冷血野郎が兄弟なんて元かわいそうだよなあ」
「何平気な顔して学校来てんだよ」
ニヤニヤとした笑みに吐き気がする。
震えそうになる体が忌々しい。
「…教室に戻ります」
「はあ?無理無理。今から用事あるからさあ」
「僕は、ないです」
「そんなつれないこと言わないでよー、
あ、それともお兄ちゃんが暴力受けたからほとぼり冷めるまで体開くのやめとこう的な?」
「そんなこと…最初からしてない」
嫌だ。
そんな人間に見られていることが。
「嘘つくなよ!」
頭に強い衝撃。殴られたんだと少し遅れて理解した。床に倒れて、頰にザリっとした埃の感触がした。
「お前がビッチだからお前の元カレも兄さんも傷ついてんだろ?」
「お前がにいちゃん襲うようにあいつらに指示出ししたって話も聞いてるしなあ」
「そんなこと…してない…!」
兄さんに、あの思いを味合わせたいなんて思ってない。健斗を悲しませたかったわけじゃない。
必死に目を合わせても、ドロっとした笑顔を浮かべた連中は都合の良い噂を並べ立てる。
「そんな悪い奴には鉄槌下そうって決めたんだよ」
伸びてくる腕が怖くて、思わず目を堅く閉じた。
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