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仕事帰り 捌
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「ふぅ、やっと止まった…」
奏にとって、その時間__といっても数秒ほどなのだが__は、とても長い無音の何も見えない空間のようだった。
奏はほっと溜息を吐くと、ついでに運転席の右端にあるエンジンのボタンをおして、完全に車が動かないようにした。
「で、どーしよ」
車からいったん降りて、ズボンのポケットからライターを取り出し、それまたジャンパーのポケットから取り出した煙草に火をつけた。
最近は電子煙草だの禁煙だのといろいろニュースで盛り上がっているが、奏はさほど興味もないし、そもそも一定量のストレスがたまらない限り煙草は吸わない。
そのうえ奏はさほどストレスはたまらない性質だ。
つまり、奏は今、物凄いストレスなのだ。
「あー、吐きたい、吐き出したい」
奏は車の周辺を回りながら、思考を巡らせる。
__元々ドッキリでやってるし、そんな過呼吸になるほど嫌だったのか?
それとも、緊張して…?
奏はそこまで考えたところで頭をぶんぶんと横に振った。
そしてプハァ_と白い煙を吐き出す。
__いや、随分と思考が変態じみてきちめったな…。
これこそあれと同じだろ、自意識過剰、ぶりっ子、ナルシスト!!
うう、同類になりたくないなぁ…。
自意識過剰とぶりっ子はまぁあっているかもしれないが、ナルシストに関する知識は何一つ無かった為、テキトーにそう思った。
カツカツと靴の音を暗い商店街に響かせながら、何周か回る。
「はぁ、というか、黒川さんもなんなんだよ」
どこにもぶつけられない形だけの怒りを、黒川にまでぶつけてしまう。
__黒川さんだって、一応罪があるじゃないか。
俺が迫ってった時だって、なんです、って拒みもしないし、シチュエーションだけでこれから何されるかってわかるはずでしょ!?
それにわざわざ腰まで浮かせて、もう流れちゃってたのかな?
それとも…でも、あの反応からして緊張か、無意識か_。
深く考えるだけ余計に違う思考に入って行ってしまう。
どんどん記憶をぶり返し、寧ろ全然ストレスが溜まっていく一方だったので、奏はそれに関して考えることをやめた。
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