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⑥
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「……」
「なんだ、人間。食べないのか?」
食べないかって……。まぁ、人間の丸焼き以外は普通の焼き料理だけど、目の前に解体された人肉があるこんな状況で食欲がある方が不思議だ。苛立ちながら、席を立つ。気分が悪い。どこでもいいから、一度休みたかった。
「顔色が悪い。具合が悪いのか?」
「うるせぇ」
伸びてきた触手を払いのけ、化け物を睨み付ける。訂正。どこでもいいが、化け物がいない場所限定だ。この大きさの屋敷だ。きっとどこかに静かで化け物がいない場所があるはず。そう思い、部屋を出たが。
「……あれ?」
くらりと目眩がして、思わずしゃがみ込む。なんだこれ。視界が回る。しかも、倦怠感が半端ない。
「うご、けねぇ……」
崩れるように廊下へ横になった。行儀は悪いが、思ったよりもカーペットが柔らかい。牢屋の固いベットに比べれば、こっちの方が、まだ寝心地がいい。
「人間。寝るならベットで寝ろ」
「無理……動けねぇ」
「動けないのか? たく、世話の焼ける」
ぐったりと目を閉じていると、なにかが体に巻き付く感覚と共に、浮遊感が俺の体を襲った。重い瞼を開けると、化け物に俵担ぎされていた。
本当はこんな奴に触れられたくもなかったが、如何せん体が言うことをきかない。それに、俺も出来るならベットで休みたかったので、大人しくしている事にした。
不意に、化け物のため息が頭上から聞こえた。
「人間がこんなに面倒なものだとは聞いてなかったのだがな……」
ほかの人間がどうかは知らんが、俺は滅茶苦茶面倒な方だと思うぜ。残念だな。俺みたいな奴に当たっちまって。
ま、選んだのはお前だから、俺は悪くねぇぞ。恨むのなら、過去の自分の選択を悔やむんだな。
「それはどーも」
褒められていないと分かりながらも、適当に返事を返す。こいつの体から、あの石鹸のにおいがして、なんとなく落ち着く。しかも、良い感じに揺られるので、余計心地よい。
「……すぅ」
気づいたら、俺は本格的に眠っていた。
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