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なーんて。思ってたら。
「ジーク頼む! あの黒髪の飼育変わってくれ! 俺じゃ手に負えない」
って、ルンファクが泣き付いてきた。話を聞いたら、逃げるわ、暴れるわ、客にそっぽを向くわで大変らしい。
店自体に人間脱走防止の魔法陣をてんちょーが張ってるから、店の外に出ることは絶対にないんだけど……。毎日逃げられたらそら、精神も参るよね。それでもなく、ルンファク真面目なのに。
「しょうがないなー。その代わり、俺の担当してる人間2匹世話見てよね」
「助かる!」
涙目でがっしりと手を掴まれる。よく見たら、ルンファクの目元にクマがあった。頑張って頑張ってそれでもどうしようもなかったんだろう。
「お疲れ様」
ぽんとルンファクの肩を叩いて俺は飼育場に向かう。さてさて、黒髪ちゃんはどうなっていることやら。
「久々のご対面ー」
黒髪ちゃんが入ってる部屋を見ると、彼は部屋の隅でなにかやってた。どうやら、その作業に必死らしく、俺が来たとこに気づいてないみたい。
「んー」
このままほっといてもいいんだけど。なんだろう、なんか、嫌な予感がする。
「黒髪ちゃーん」
「!」
呼び掛けると、黒髪ちゃんの肩が不自然に跳ね上がった。それで確信する。うん。なにかしてるね。
「ちょっとごめんねー」
触手を伸ばし、逃げる黒髪ちゃんを捕まえる。その拍子に、彼の手から何かが滑り落ちた。
「なにこれ」
「 !!」
暴れる黒髪ちゃんを押さえつけ、落ちたものを拾うとそれは石で作ったナイフだった。よくみると、壁が少し凹んでる。なるほど、壁壊して外出ようとしたのね。よくまぁ、考えること。
「だめじゃーん。壁壊しちゃ」
「 !!」
怒ってる怒ってる。予想通りの反応に、思わず噴き出すと余計に怒る黒髪ちゃん。
「はいはい、おこらーない」
体液を飲ますために、口へ触手を入れたら思い切り噛まれた。けど、物理の効かない俺達にとっては何かが触れた感触しかない。思い切り噛んでるし、これが他の種族だったら、悲鳴ものなんだろうな。なーんて思いながら、体液を黒髪ちゃんの喉奥に吐き出す。よしよし、いい感じに大人しくなった。
「今日から君の飼育員になったジークです。よろしくねー」
ーープイ!
「そっぽ向いても可愛いだけだーけ」
ぷにっと頬を触手でつついたら、また触手を噛まれた。もう、なんでこう俺の思った通りの反応をするのやら。面白くてしょうがない。
「よろしくね。黒髪ちゃん」
ーーガジガジ。
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