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「トール君!」
『なんだ、アミラ?』
「お昼ご飯出来たって。食べに行こ!」
『わかった』
アミラとは、筆談の協力をしてもらってから随分と仲良くなった。俺が脱走常習犯と知っているから、残念ながら脱走の協力は得られなそうだけどな。
ここの生活は快適だ。アミラを初め、屋敷の奴は全員優しいし、化け物も、なんだかんだで目をかけてくれる。
けど、元の世界に帰ることは諦める気はない。母さんの事は心配だし、1日でも早く戻りたい。戻ったら、いきなり居なくなってごめんと謝りてぇしな。
母さんの事だ。最低1発は叩かれるだろう。その後、子供みたいにボロボロ泣いて、きつく抱き締めてくれる筈だ。バカ…バカ…バカ…ってしゃくりあげながら。
「母さん……」
思い出したら、余計会いたくなっちまったじゃねーか。
だが、元の世界に戻る為には、情報が全然足りねぇ。もっと沢山の、特に召喚に関する知識を持ってるやつの話を聞きたい。
「知識を持ってるやつに関しては、心当たりがあるけどな」
俺や他の人間を召喚したであろう、ジークやアルクレイド達。あいつらは、人間を商売道具にしている店のやつだ。つまり、人間を頻繁に召喚している。きっと彼らなら、何かしらの情報をもっている筈だ。けど、二人に会うならば、この屋敷を抜け出さないといけない。
ちなみに、この1ヶ月、店にいた時同様、ほぼ毎日脱走計画を実行しているが、屋敷の外まで逃走できた事は、一度もない。
俺が馬鹿なんじゃねぇ! 化け物たちの勘が良すぎるせいだ!
「やっぱり、この屋敷を抜け出す方法を探すのが先か」
呟きながら、食事をする部屋のドアを開け、
「やっほーー! 黒髪ちゃん!」
全力で閉めた。
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