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④
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「トール?」
誰かが俺を呼ぶ声と共に、ふっと痛みが嘘のように引く。直後、なにかに持ち上げれて、自分とは違う温もりに包まれた。激痛で溢れた涙でボヤけた視界のまま見上げると、ぼやぼやの化け物の顔がそこにあった。
「こんな所でなにをしている」
「ぁ……」
俺はぎゅうと化け物にしがみついた。今更ながら恐怖が波のように押し寄せてきて、全身が震え出す。もしもこいつがここを通らなかったら……。そう考えるとゾッとする。
「俺……俺」
「なにがーー」
「見つけた!」
化け物の声を遮るように現れたのは、フィンガー。俺を見つけた事に興奮してた様子だったが、化け物を見た瞬間、その顔色は真っ青になる。
俺とフィンガーを交互に見た化け物は、何かを感じ取ったのだろう。殺気がにじみ出る。
「どうやら、これがお世話になったみたいだな。フィンガー社長」
「ちがっ!」
「なにが違う? 化け物の俺にも分かるような説明を頂きたい」
「そ、それは……」
うわ、化け物マジで怒ってる。俺が震えてた理由はきっとこいつが想像してるのと違うんだろうけど、いい気味だから、このまま勘違いさせておこう。
化け物は、俺を抱え直すと、屋敷へと身を翻す。
「俺は今からこれの洗浄をしないといけないので、失礼する」
「なっ! それが朕をさんざん待たせた態度か!」
「お前が勝手に待ってたんだろ。なんなら、俺の最上級の魔力で、もてなしても構わないが?」
「ひぃ! お、覚えてろ!!」
フィンガーは、血相を変え、転がるように屋敷から出ていった。はっ! ざまぁ。二度と来るな。
「俺のものに痕を付けるとは……。許さない、潰す」
ぎしりと俺を抱える化け物の手に力が入り、俺は頬を引き攣らせた。そもそもこいつ、お怒りモードがまだ収まってないんだが。
「これに触れていいのは、俺が許した者だけだ」
直後、こいつの服の中でパキンパキンという音が響く。きっとこいつの魔力に耐えきれなくなった魔石が割れている音だろう。
ちょっ、これやばくない?
『ちょっ、落ち着けって。俺は大丈夫だから』
「どこが大丈夫だと?」
「……」
ーーパキン!!
あ、やべ。さらに怒らせた?
「……。まさか、お前から誘ったんじゃないよな?」
『そんな事するか! あほ!』
こいつ、どんな思考回路してんだよ!
「ならいい。だが、俺以外の誰かに自ら肌を見せようものなら俺の部屋に監禁するからな」
『そんな事、一生ねーよ』
そもそも、お前の時もほぼ無理矢理だからな。……まぁ、最近は嫌というより、恥ずかしいの方が上回ってきてるけど。
だからって受け入れた訳じゃねーからな!
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