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③※微グロ
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「う……」
薬のせいか、ぼんやりとした視界を頭を振って正常にする。どうやら、狭い箱の中へ閉じ込められているみたいだ。草木が揺れる音と濃い木々の香りを感じるということは、森の中なのだろうか?
「うまい話には裏があるとは、よく言ったものだ」
はぁとため息を吐き出す。実の所、あの人形が動く1日だけ外に出る予定だったのだ。紋章のせいで死ぬのは嫌だったしな。それをホクトに伝えようとした直後のあれだ。最悪の一言しか浮かばない。
しかも、前よりも状況は悪化している。うれしくねぇ誤算ばかりだ。
「どうにか逃げ出さないと」
強めに箱を叩くが、開く気配はなし。ゴンという音に混じってガチャガチャと鍵が揺れる音が聞こえるということは、箱は厳重に施錠されてるのだろう。手足は拘束されていないとしても、これだと身動きもままならない。
さて、どうしたものか。
「ほんとにいいのかよおい」
「大丈夫大丈夫。1匹位食ったってバレねぇよ」
「そういや、黒髪のやつが1匹いるらしいな。黒髪って美味しいんだろ?」
「指1本位なら食ってもバレねぇだろ。食べちまうぜ」
「そうだな。確かこの辺だったはず……」
声の内容に、耳を澄ます。さっきの獣族の仲間だろうか? 続いてバタバタと何かを開けてる音が響いた。どうやら、俺を探しているらしい。つくづく黒髪は重宝されるな。
探している目的は、かなり物騒だが。
けど、これで脱出の突破口は見つかった。
あとは、タイミングだ。
そして、俺の箱も鍵を開ける音と共に開いた。
「うりゃぁ!」
「うぉ!」
開くのと同時に、覗き込んできた奴に頭突きを食らわす。よっしゃぁ! 見事にヒット!
「なんだこいつ!」
そのまま倒れた箱から飛び出すと、駆け出した。逃げればこっちの勝ちだ。
「この野郎!」
「うわ!」
もう少しで出口という所で、背後からいきなりのしかかられる。体を捻ると、獣族が、歯をむき出しにして、俺に噛み付こうとしていた。
「この!」
獣族を蹴飛ばし、下からはい出る。だが、逃さないとでも言うかのように、今度は俺の足に噛み付いてきやがった。
激痛が体を突き刺す。だが、喧嘩のお陰で、痛みにはそれなりに耐性があるんだ。こんなもので怯むか!
「はな! せ!」
手加減なしに、獣人の顔を蹴るが、全く離れない。なんだこいつ!
「人間風情が馬鹿にしやがって!」
「え?」
足にまとわりついてる奴に気を取られすぎてて、俺は別の獣族が目の前まで迫っていることに気づかなかった。
奴の持ったナイフがぎらりと眼前で光ったと思った瞬間、右の視界が赤く染まる。直後、俺を襲ったのは、あの時以上の激痛。
「ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙!!!!」
つんざく様な叫び声が、俺の口から迸った。
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