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④※微グロ
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「この! 人間の分際で!」
「かは!」
さらなる痛みが体を貫き、口から何か熱いものを吐き出す。月明かりに照らされたそれは、どす黒い光沢を持って俺の顔の横で揺らめいている。なんか、綺麗だなと場違いながらふと思った。
「この! この!」
ぼやけた視界の中で、俺の右目を潰した獣族が、俺に馬乗りになって何度も俺の体へナイフをつきさし、殴る。反射で体は跳ね、水音が辺りの空気を振動させる。
本当は殴ってでもやめさせてぇんだが、既に血を流しずきてるのか、抵抗らしい抵抗をする力が今の俺にはもうなかった。ただ暴力を受け入れるだけの木偶の坊。そんなものに、成り果てていた。
たく、過去の俺が見たら殴りかかってきそうな醜態だ。
「おい! そいつ黒髪だぞ! そんな傷物にしたらボスに怒られる!」
「既に傷物なんだ。それならいっそミンチにして食っちまった方がバレねぇ!」
言いながらも、獣族は俺の体をずたずたにしていく。
寒い、熱い、怖い、痛い、苦しい。
体がグチャグチャな感覚をひっきりなしに脳へ送ってきている筈なのに、俺自身の反応は、膜にでも覆われたかのように、どんどん薄いものになっていく。
ーー俺、このまま死ぬのか?
ぽつんと浮かんだ言葉に、ふっと意識が晴れるのを感じた。そうだ、これはこの世界に来る前に感じた感覚。
死にたくない。だって、俺にはまだーー!
《トール》
「っ!」
不意に、脳裏を過ぎったのは、化け物の姿。思わず目を見開いた後、笑ってしまった。
「……はは」
なんで、浮かぶのが母さん達じゃなくて、あいつなんだよ……。意味がわからない。
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