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栞の花(社長視点)
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「トールくんが誘拐された!?」
けたましい音を立てて、フリークスが椅子をひっくり返す。それはそうだろう。そもそも、主である俺がこういう状態になる方が普通だ。だが、何故だろう。俺は酷く冷静だった。いや、それには語弊がある。
怒りを通り越して冷静になってるといったところか。報告書をもらった直後は、怒りが爆発して数個魔力制御装置を壊してしまったのは仕方ないだろう。
とりあえず、フィンガーは社会的に抹殺する事が俺の中では決まった。この前の件ではあえて見逃してやっていたのに。本当に最初から最後まで気に食わない奴だ。
「フリークス戻るぞ」
「りょーかい。いやー。重要な会議昨日に回しておいて正解だったわ。さっすがー俺」
「自分を褒めるのは、トールを見つけてからにしろ」
「はーいっと」
フリークスが呼んでくれていたのであろう、馬車に乗り込む。まず帰ったら、ホクトに訳を聞き、それと並行で行方不明なっているフィンガーの検索。獣族がいたとも報告が上がっていたから、それも調べないといけない。
「……トール」
報告書と共に送られてきたしおりをそっと手に取る。早く帰ってこいと裏に小さく書かれたトールの字。それと、この栞になっている花は……。
「 《 寂しい》か」
栞の花に込められた言葉を1人呟く。この前の時も帰ってきてからやたらと近くにいるなと思っていたが、まさかトールが俺がいなくて寂しいと感じてくれているとは思わなかった。
嬉しいと思うと同時に、余計俺とトールの再開を邪魔した奴らを許すわけにはいかないと思った。特にフィンガーは、死よりも恐ろしい屈辱と恐怖を味あわせてやる。
「待ってろ、トール」
必ず、お前を見つけ出してやる。
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