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⑤
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「魔力が底を尽きてたせいか、瀕死から蘇ったせいか、とにかくお前は2ヶ月の間、ずっと眠り続けてたんだ。その間、レオはお前の世話を毎日してくれたんぜ。感謝しろよ。あと、あのめんどくせぇ、契約も破棄してある。あれがかかったままだったら、いくら神に助けて貰ってても、死んじまってただろうしな」
「そう、か」
「本当に、トールさんの目が覚めて良かったです」
涙目のレオの頭を撫でてやりたくて、手を持ち上げようとしたが、つきりと鈍い痛みが走って上手く持ち上がらねぇ。今更ながら、鈍ってた体が悲鳴をあげ始めたみてーだ。大人しくベットへ横になってると、変わりにリオンが撫でているのが見えたからいいとしよう。
それにしても、2ヶ月も経っていたとは。まさか、ここまで長くあの場所を離れることになるとは思ってもみなかった。
「(あいつら、心配してるだろうな)」
アミラはきっと、泣きながら俺を探してくれているはずだ。シルフィも、ジークも、フリークスも、あの顔からして、ホクトも一緒に探してくれているかもしれない。
それとーー。
「(あいつは、俺を探してくれているかな)」
《お前は俺のものだ》
そう言って化け物に抱きしめられたのが、遠い過去のようだ。散々、離さないなんだの言っていたが、それは俺が自分の手元にいたからだろう。
国さえも越えてしまった今、俺に対するあいつの興味はもう失せてしまってるかもしれない。もういらないと忘れ去られてるかもしれない。迷惑をかけまくったんだ。厄介者がいなくなって、清々してるかとしれない。
見捨てられた。その可能性が一番高いのに、何故かとても怖くて、もしそうだったらと思うときゅうと胸が痛んだ。確認しようにも、この右も左も分からない場所から、国境を越えて俺からあの屋敷まで戻るなんてまず無理だった。かと言って、化け物がわざわざ俺の為に国を越えてまで、探してくれるとは思わねぇ。あいつは、非効率な事はきれーだからな。
もう俺を縛るものは何も無い。きっと2人はここにいたいと言えば、笑顔で首を縦に振ってくれると思う。もしも駄目なら、適当に何処か人間でも安全な場所を見つけて暮らせばいい。そこで元の世界に戻る方法を探す。それが、俺にとっては1番いいはずだ。
なのに。
「なんで、こんなにもあそこに帰りてぇんだよ」
思ず出た呟きに、笑いが込み上げた。出たいと思ってたのに、出た瞬間、帰りたいとかなんなんだよ。自分の考えながら、意味わかんねぇ。
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