アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
新たな決意
-
ゆっくりと起き上がり、足に力を入れる。若干震える足にゆっくりと体重をかけ、一歩一歩前に進む。
「もうちょっと、もうちょっとですよ」
「よっ……と」
少し離れた場所にいるレオの手を取り、ほっと息を吐き、へたり込む。目の前の彼は、すごい嬉しそうな笑みを浮かべ、ブンブンと力のない俺の手を自分のと一緒に振っていた。
それはそうだろう。壁伝いにしか歩けなかった俺が震えながらも、自力で歩けるようになったんだから。
「やりましたね! トールさん!」
「どっと疲れた」
「お疲れ様です。けど、1週間でここまで回復するなんてすごいと思います!」
「そうか?」
「はい!」
まるで自分の事のように喜ぶレオの頭を俺は優しく撫でる。えへへーと笑うレオは年相応の反応で、思わず俺も笑ってしまう。
リオン曰く、レオが笑い始めたのは俺がここに来る少し前かららしい。それまでは、怯えるか、悲しそうな顔をするか、泣きそうな顔しかしなかったとか。今のレオを見てると信じられねぇが、真面目な顔で言ってたから、本当の事なんだろう。
レオにどんな過去があって、どういう経緯でリオンの元に来たのか、俺は知らねぇ。正直、知りたい気持ちは少しあるが、レオが自分から言うまで聞く気はない。
まっ、今ここでリオンと共に笑い合えるなら、それでいい。それが俺の出した答えだ。
「ちょっと休むな」
「はい。ベットに戻れそうですか?」
「やってみる」
レオの手を離れ、なんとか立ち上がると、再び足を動かす。やっぱり、鉛を付けたかのように重く、おぼつかねぇ。2ヶ月寝たきりになっただけでこれとか、本当に筋肉は衰えるのがはえーな。
「つ、ついた……」
思わずへたり込む。たった数メートル歩いただけで、まるで長距離でもやったかのように、どっと汗が吹き出るし、足も生まれたての小鹿のように震えている。たく、なさけねぇな、本当に。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
82 / 241