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④
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「明日帰るって速くねぇか?」
夕食時。リオンの言葉に俺は全力で頷いた。ここを離れるつもりはあったが、それは化け物が俺の事を忘れてる前提だったし、そもそもこんな急に帰る予定なんて立ててもいなかった。
今度2人にいつ会えるか分かんねぇし、こんな突然すぎる別れなんて、俺は認めねぇ。そう、風呂場でも駄々をこねたが、全く受け入れて貰えなかった。
たく、こいつ変な所で頑固なんだよな。
「ここに来るまで飛ばしてきたとはいえ、かなり会社を開けてるからな。そろそろ部下が死にかける」
「マジかよ…… 」
「なにも調節せずに出てきてる。今頃会社はパニックだろう」
なんとでもないように言ってのける化け物に、俺半目。というかこいつ、風呂場では会社のこと一言も言ってなかっただろうが。それを先に言えよ。そしたら、あんなにギャンギャン言わなくて良かったのに。
そこまで俺聞き分け悪くねぇぞ。
「まぁ、フリークスはいるから、ある程度は大丈夫だろう」
「そのフリークスとやらが優秀だとしても、会社が大変なら帰らねぇといけないよな」
そう言ってるリオンの横に座るレオは、納得したような顔をしながらも、どこか寂しそうだ。
明日帰る。これはもう決定事項だ。だが、それでレオとの縁が切れてしまうのがどうしても嫌だった。
少しでもレオとの繋がりを強くしたい。そう考えた俺が出した結論は、1つだった。
「レオ、今日一緒に寝ようぜ」
「え?」
「俺と2人きりでさ」
「けど」
「こいつらの事は気にするな。入ってこようとしたら、物理で追い出す」
リオンはまだしも、化け物はまた不機嫌になりそうだが、それはもうご愛嬌としておこう。
「俺さ、ここを離れる前に、もっとレオのこと知りたいんだ。だから、今日くらいは、ゆっくりレオと話したい」
「トールさん……」
「まぁ、レオが良ければだけど」
これでフられたら、流石の俺でも凹むなと思ってたら、レオはキラキラと目を輝かせながら、全力で首を縦に振っていた。
「僕もトールさんとお話したいです!」
「よし。じゃ、語り明かそうぜ」
「はい!」
とまぁ、決まったはいいんだが。
「 何故だ」
『今日がレオと最後の夜だからだよ!』
「あれは、3ヶ月お前と共に寝たんだろ」
『お前とは、これから一緒に寝れるだろうが! それに、こんな所で元の姿に戻ってリオンとレオを狂わしたら、本気で怒るぞ』
リオン達にバレないよう、廊下で化け物と会話をする。ムスッとしていた化け物だが、納得したのか、表情そのまま俺を抱き締める。
「……なら、もう少しそばにいろ」
「分かった分かった」
そう言って、抱き着いてくる化け物が俺から離れたのは、深夜に差し掛かる頃だった。俺はもっと早くからレオと語りたかったんだが、今度は化け物の奴が駄々こねて離れてくれなかったという。最後は無理矢理剥がしという暴挙にまで出るハメになった。
ちなみに、リオンも追い出した。俺はレオと人間同士で話がしたいんだ。
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